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データーセンターニュース ピックアップ: 25/3-4月│Vol.134

業界・ビジネス動向

【sevensixTV】に第134弾の動画を配信しました。

00:21 注目記事:マイクロソフトのDC開発撤退について
01:32 今月のピックアップ記事10選
01:43 国内DC市場の成長予測(富士キメラ)
03:11 IDC Japanの建設投資レポート
03:49 NTT ComのGPUクラスタ実証
04:27 三菱商事×JFEのDC投資
05:25 日本企業、横浜洋上DCプロジェクト
06:06 KDDI×シャープ堺工場跡地
06:44 NVIDIAのAI戦略発言
07:38 ソフトバンク 全米でAIロボット投資
08:54 その他海外企業の動き
10:37 主要記事まとめ

今回は【2025年3月15日~4月14日】の間に話題となった記事の中から、森田が厳選した注目の10記事をご紹介します。 中でも大きな反響を呼んだのは、マイクロソフトによる一部データセンター計画の見直しではないでしょうか。

AI需要が高まる中でのこの動きは、過熱するデータセンター市場に一石を投じたとも言えるでしょう。 その他、富士キメラ総研やIDC Japanの市場予測、三菱商事やKDDIなど国内企業の新たな投資、さらには洋上データセンターの試みなど、注目のトピックが満載です。
クラウド、AI、インフラに関心がある方は、ぜひ最後までご覧ください!

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00:21 注目記事:マイクロソフトのDC開発撤退について

今月は面白い記事がたくさんあって、10個に絞るのが本当に大変でした。 
しかし、皆さんが気になったのは、マイクロソフトのデータセンター開発撤退の記事だったのではないでしょうか? 

マイクロソフトが​世界的にデータセンター開発から撤退​

マイクロソフトが世界各地のデータセンタープロジェクトから、一部、撤退や延期しているというニュースですが、インドネシア、イギリス、アメリカの一部、そしてオーストラリアなどで協議を中止したり、建設計画を一時停止したとのことです。 
その背景には、過去の大規模投資による十分な対応力や、エリアごとの成長戦略の見直しがあるようですが、一方で、同社は今後も800億ドル以上をインフラに投資する方針を崩しておらず、成長意欲は健在なようです。 この動きは、AI需要に沸いているデータセンター市場の”過熱感”に一石を投じた形となっています。 

真相は良く判りませんが、確かに世界各地でデータセンターへの投資が加速してきており、過去の経験からすると過熱しているという考え方もあると思いますし、逆に、AIのコモディティー化はスタート段階と考えるとデータセンターへの投資は今後も伸びていくという考え方もあると思います。いずれにせよ、AIの出現で、過去の経験則では読み切れない時代に突入したのではないかと思います。 

01:32 今月のピックアップ記事10選

わたくし森田が悩みに悩んだすえチョイスした記事10個はこちらになります。 

今月のピックアップ記事10選

01:43 国内DC市場の成長予測(富士キメラ)

富士キメラ総研が発表した最新レポートによると、2024年の国内データセンターサービス市場規模は4兆180億円に達する見込みです。 

また、2029年には約5.4兆円まで成長すると予測されており、年平均成長率はおよそ6%と安定した拡大トレンドが続く見通しです。成長を後押ししているのが、メガクラウドベンダーのデータセンター新設と、一般企業による生成AI投資です。これにより、GPUサーバーの需要が急増中で、特にホスティング分野では、GPUを利用したPoC向けのクラウド型GPUリソース提供が伸びており、関連ベンダーの参入も相次いでいます。

IaaSやPaaSなどのクラウドインフラ領域は市場拡大の中心で、セキュリティやデータ主権を重視した「ソブリンクラウド」の整備も進んでいます。政府系のガバメントクラウドの需要も後押ししており、クラウドは今後もIT基盤の「当たり前」になりそうです。

2024年時点のDC向けGPUサーバー市場は約640億円ですが、2029年にはこれが約15.6倍の3270億円まで拡大すると予測されています。ただし、導入コストが高いため、普及ペースはやや緩やかになるとの見方もあります。 

また、液冷関連製品市場も前年比57.1%増の44億円となっており、冷却効率の高さから、空冷から液冷へのシフトが加速していきそうです。 

03:11 IDC Japanの建設投資レポート

IDC Japanは、国内の事業者データセンターに関する建設投資が2028年には1兆円を超えると発表しました。 
背景にあるのはクラウドサービスの成長に伴うハイパースケールDCの需要拡大と、AIサーバー導入による設備大型化ですが、建設費用についても人手不足と原材料価格の高騰で急騰しており、2026年竣工予定の施設では、同じ規模でも投資額が1.5倍に達する見込みです。こうしたコスト増にも関わらず旺盛なクラウド需要に支えられて、投資拡大が後押しされると見られています。 

国内DC市場の成長予測(富士キメラ)

03:49 NTT ComのGPUクラスタ実証

NTTコミュニケーションズが、IOWN構想に基づいて、3拠点のデータセンターに分散配置された、GPUクラスタを活用した大規模言語モデルの学習実験に、世界で初めて成功しました。

この実証では、NVIDIA NeMoを使用し、川崎、三鷹、秋葉原のデータセンター間を100Gbps回線で接続。分散データセンターによる運用で、従来のインターネット接続と比較してほぼ同等のパフォーマンスが確認されました。今後、分散データセンターの拡大を見越して、GPUクラスタの最適化や新たなサービス提供を目指しています。 

NTT ComのGPUクラスタ実証

04:27 三菱商事×JFEのDC投資

三菱商事がJFEと手を組み、1500億円を投じてデータセンターを建設します。 
場所はJFEが高炉を休止した川崎の製鉄所跡地で、ここに生成AI向けの高性能サーバーを設置し、2030年度の稼働を目指します。三菱商事グループは消費電力換算でNTTに次ぐ国内第2位のデータセンター運営会社と言われておりますが、この三菱商事グループのデータセンターにおいて今回の施設は最大の拠点となるようです。

この動きは、シャープ堺工場跡地の活用とならび、工場跡地を次世代の情報インフラに変える象徴的な事例となります。電力供給や再エネの活用、水素による発電も視野に入れていて、まさに「脱・重厚長大」な未来型開発が進んでいます。都市近郊の遊休地を活かすDC戦略に注目です。

三菱商事×JFEのDC投資

05:25 日本企業、横浜洋上DCプロジェクト

日本企業のコンソーシアムが横浜沖で洋上データセンターの実証実験を計画しています。 
このプロジェクトには、日本郵船、NTTファシリティーズ、ユーラスエナジーホールディングス、三菱UFJ銀行などが参加し、再生可能エネルギーによる完全駆動を目指しています。データセンターはミニフロート上に設置され、太陽光発電と蓄電池から電力を供給します。2025年秋に着工予定で、将来的には横浜港でさらに拡張する可能性があります。 

また、世界に目を向けると、フランスやアメリカ、シンガポールなどでも洋上データセンターの計画が進捗しているようです。

日本企業、横浜洋上DCプロジェクト

06:06 KDDI×シャープ堺工場跡地

国内企業最後の記事はシャープ堺工場跡地についてお伝えします。 
KDDIは、シャープ堺工場の土地と建物を100億円で取得し、AIデータセンターの構築を発表しました。 この大阪堺データセンターでは、NVIDIAの最新GPU基盤を導入し、大規模な生成AIモデルの開発を加速します。

2025年度中の稼働を目指し、法人向けに汎用型AIサービスや特化型AIサービスを提供予定です。また、冷却方式は液冷と空冷のハイブリッド型を採用し、再生可能エネルギーでカーボンニュートラルにも貢献します。 

KDDI×シャープ堺工場跡地

06:44 NVIDIAのAI戦略発言

NVIDIAのファンCEOは「AIバブルはまだ始まったばかり」と強調し、2028年にはAI関連の設備投資が1兆ドル、約150兆円に達するという予測を紹介しました。新たなAI半導体「ブラックウェルUltra」や「ルービン」シリーズも発表され、処理性能は現行比で最大14倍にもなります。 

1月に中国の新興企業DeepSeekが低コストで高度なAIモデルを開発したと伝わると、株式市場では最先端のAI半導体の需要が伸び悩むとの懸念が広がり、エヌビディアの株価は一時急落しました。ファンCEOは2月の決算説明会でこうした見方を真っ向から否定し、「毎年新製品を出す」と宣言し、成長戦略に自信を見せました。AI半導体の進化と需要は止まらないというメッセージです。  

NVIDIAのAI戦略発言

07:38 ソフトバンク 全米でAIロボット投資

ソフトバンクグループのアメリカでの取り組みとなります。 
ソフトバンクグループが、AIを搭載したロボットによる次世代製造業の実現に向け、全米規模で産業団地(インダストリアルパーク)を構想中です。総額150兆円規模の巨額投資になる可能性があり、すでにアメリカ政府と連携した動きも準備中です。 
このプロジェクトでは、AIが自律的に判断して稼働する無人工場が想定されており、ビジョン・ファンドが出資するアジャイルロボッツの技術も活用する見込みです。AIサーバーや発電所など、AIインフラ構築に加え、製造現場へのAI・ロボット導入を通じて、深刻な人手不足の解決を目指します。 

資金調達では、中東マネーやファンドからのプロジェクトファイナンスを活用し、SBG自身の資本投資は限定的に抑える方針です。すでにオープンAIやエヌビディアとも連携を深めており、AI実装のスピード感とスケール感は群を抜いています。 

かつてはネット・モバイル・投資と時代に合わせて軸足を変えてきたSBGですが、今回は「AIが主役の製造業」へのシフトに本気で挑みます。しかし、巨大計画の実現にはパートナーの確保と資金調達のハードルを乗り越える必要があります。 

ソフトバンク 全米でAIロボット投資

08:54 その他海外企業の動き

OpenAIが、ソフトバンクグループなどから約6兆円、400億ドルの出資を受けることが発表されました。 
企業価値は約45兆円と、トヨタを超える未上場企業として世界最大級になります。 

この巨額資金は、AI研究とインフラ整備、特に米国で進める「スターゲート計画」に充てられます。これはAI専用のデータセンター群を作る構想で、2029年のキャッシュフロー黒字化を見据えて進行中です。 

ソフトバンクは、2024年から2025年にかけて最大300億ドルを出資予定で、OpenAIの成長を支える中心的存在になります。マイクロソフトに次ぐキープレイヤーとして、次世代のAI開発を強力に後押ししています。 

OpenAI、SBGなどから6兆円調達 

イーロン・マスク氏率いるxAIが、米ブラックロック主導のAIインフラファンドに参画しました。 
このファンドは約4.5兆円規模で、データセンターや電力網に投資予定です。OpenAIとソフトバンクが進める「スターゲート」計画に対抗する動きとも考えられており、AIインフラを巡る企業間の陣取り合戦が激化しています。マイクロソフトやNVIDIAもこのファンドに関与し、複数の勢力が入り乱れる、複雑な構図が生まれつつあります。今後のAIインフラ競争から目が離せません。 

マスク氏、4兆円AIファンド参画

10:37 主要記事まとめ

国内データセンター市場は足元も堅調に推移しており、かつ、今後も更なる成長が見込まれるということがデーター上でも示されました。 
そうしたなか、国内企業は引き続き技術革新に加え、データセンターの新設意欲は強く、エネルギー問題も意識したデータセンターを建設する取り組みが加速してきています。 海外、特にアメリカではAI投資への動きがますますダイナミックになってきていると感じました。

主要記事10選のまとめ

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