【sevensixTV】に第135弾の動画を配信しました。
00:45 TDKの光検知デバイス「スピンフォトディテクタ」
01:29 NVIDIAのCPO搭載プロセッサー製品化へ
02:15 光電融合の業界地図と今後の展望
03:29 富士通×Supermicro×ニデックの水冷DC技術
04:15 慶応大学の省電力光ファイバー
05:01 KDDI・さくら・ハイレゾの国内GPU協業
05:41 SBIと住友商事のAIクラウド参入
07:12 米海軍、グアム基地にデータセンター建設へ
07:22 富士通と理研、256量子ビット量子コンピューター開発
08:00 NTT、2.3兆円投資で再統合と社名変更
09:19 今回の主要記事10選まとめ
今月もデータセンター業界トピックをまとめてお届けします。
今回は、NTTの再統合と社名変更や、急浮上する光電融合技術、日本の量子コンピューター開発の進展など、注目のニュースが満載です。 特に 光電融合 は国内外で急速に注目されており、NVIDIA・Broadcom・TSMCなどが主導するCPO(Co-Packaged Optics)にもフォーカス。
さらに、米海軍のグアム基地でのDC建設や、GPUクラウドに動くSBI・住友商事の動きもピックアップしました。
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00:45 TDKの光検知デバイス「スピンフォトディテクタ」
TDKが開発した新しい光検知デバイス、スピンフォトディテクタの紹介です。
これは従来のフォトダイオードよりも10倍高速で応答できる磁性デバイスで、光を電気信号に変換する速度が劇的にアップしています。TDKはこの技術を使って、送信と受信を一体化した超小型の光トランシーバーを2028年頃に実用化する予定です。
特徴は磁気トンネル接合という技術で、電子のスピンを利用して光を検知します。この仕組みは高速な応答だけでなく、小型化や消費電力の削減にもつながります。さらに宇宙開発や超高速カメラといった幅広い応用も期待されています。まさに未来のデータセンターを支える革新的技術と言えそうです。

01:29 NVIDIAのCPO搭載プロセッサー製品化へ
NVIDIAが2025年に光回路と電気回路を融合させた「Co-Packaged Optics(CPO)」技術搭載のプロセッサーを製品化します。CPOは光学エンジンを半導体パッケージに内蔵し、従来のプラガブル光モジュールより約3割低い消費電力で大容量・高速のデータ伝送を実現。
特に、光学エンジンの高密度実装と発熱問題が課題ですが、NVIDIAは6つの技術ポイントでこれらを解決しました。光学エンジンと半導体の垂直積層、光ファイバーの物理的制約の解消、接続の精度向上、発熱対策などにより、1秒間にTビット級の高速通信を可能にしています。これにより部素材メーカーもCPO実装の方向性が見え、業界の技術革新を加速させる重要な一歩といえます。

02:15 光電融合の業界地図と今後の展望
最近、「光電融合」という技術が注目を集めています。これは、電気信号と光信号を一体化して処理することで、データの転送速度を高めつつ、消費電力を大幅に抑えることができる次世代技術です。とくに、生成AIのブームによって電力消費が爆発的に増えているデータセンターにとって、非常に重要なソリューションになります。
この分野をリードしているのは、アメリカのBroadcomとNVIDIA、そして台湾のTSMC。この3社は「CPO(Co-Packaged Optics)」と呼ばれる最先端技術の開発と量産を進めています。CPOとは、光学エンジンと半導体ICをひとつのパッケージにまとめて実装する方式で、電力効率を劇的に改善できます。
ただ、日本企業は現時点で主導権を握れていないのが現状ですが、材料や部品領域ではまだチャンスがあるため、日本勢にも巻き返しが期待されます。
すでにBroadcomはCPO搭載スイッチの出荷を開始し、MetaやMicrosoftが評価を進めています。またNVIDIAも自社のネットワークスイッチ製品にCPOを導入し、TSMCとともに量産に踏み出しています。
CPOはデータセンターだけでなく、将来的には通信基地局やAI処理インフラにも展開が見込まれ、世界的にますます重要性が高まっています。

03:29 富士通×Supermicro×ニデックの水冷DC技術
富士通、Supermicro、ニデックの3社が協業し、データセンターの省エネ化に向けた最新の水冷ソリューションを開発します。背景には、AI需要の高まりによるGPUサーバーの発熱増加と、それに伴う冷却電力の課題があります。
水冷方式は従来の空冷に比べてPUEが低く、効率的ですが、導入には高度な技術が必要です。
そこで、富士通の水冷技術、Supermicroの高性能GPUサーバー、ニデックの冷却システムを組み合わせた統合ソリューションを提供し、最大40%のエネルギー効率向上を目指します。この取り組みは2025年度に本格展開予定で、データセンターの持続可能性向上に貢献します。

04:15 慶応大学の省電力光ファイバー
慶應大学の小池教授らが、AIを活用するデータセンター向けに省電力・低コストな新型光ファイバーを開発しました。従来のガラスではなくプラスチック製で、複数本を一体成型できるのが特徴です。さらに、誤りの少ない構造に改良され、次世代通信方式「PAM4」で毎秒106ギガビットの高速通信がほぼエラーなく可能に。
これによりエラー訂正が不要となり、電力を最大50%削減できる見込みです。
製造コストも大幅に削減され、従来1万円のコネクタが100円程度で済むようになるとのことです。AI利用の拡大で深刻化する電力問題の解決策として、データセンターの未来を変える技術として期待されています。

05:01 KDDI・さくら・ハイレゾの国内GPU協業
KDDI・さくらインターネット・ハイレゾの3社が、日本国内でGPUの安定利用を目指して協業を開始しました。相互にGPUを利用し合える新たな仕組みを構築し、AI開発を支える計算資源の供給体制を強化します。
KDDIの大阪堺データセンターには、Nvidiaの最新GPUシステムが導入予定で、さくらインターネットのクラウドサービスとも連携します。 石狩でも大規模投資が進行中で、生成AIブームに対応する日本発のインフラ強化が本格化しています。
日本が“世界一安価なAIコンピューティング国家”になる日は近いかもしれません。

05:41 SBIと住友商事のAIクラウド参入
SBIホールディングスと住友商事が、ベトナム大手FPTと手を組み、AIクラウド事業に本格参入します。日本で設立されたFPTスマートクラウドジャパンに、SBI・住友がそれぞれ20%出資し、共同でGPUクラウド基盤を構築します。
Nvidia H200を活用した高性能クラウドを武器に、AIソリューション開発や生成AI提供にも取り組む方針です。FPTは既に日本国内に“AIファクトリー”を開設済みで、日本のAI自立と産業競争力強化に貢献するグローバル連携に注目です。

07:12 米海軍、グアム基地にデータセンター建設へ
こちらはアメリカの軍が進める「グアムのデータセンター計画」についてです。米海軍は、グアムにあるアンダーセン空軍基地に新たなデータセンターを建設する予定です。建設予算は、1億ドルから最大2.5億ドル。完成には約3年半を見込んでいます。
この施設は、鉄筋コンクリート2階建ての通信センターと、第36通信飛行隊向けの管理スペースを含みます。加えて、発電機棟や冷却システム、UPS、消火設備、セキュリティ、舗装、駐車場などのインフラも整備される予定です。
なお、このプロジェクトはアメリカ国籍の米国企業に限定されており、専門的な技術や経験の証明も必要。入札締切は2024年5月14日でした。 グアムはアメリカの準州であり、通信と軍事の要衝で、すでに11本の海底ケーブルが上陸しており、2028年までにさらに8本が追加される予定です。
アメリカ最西端に位置するグアムで、いま、軍事と情報通信のインフラ整備が加速しています。今後の展開に要注目です。

07:22 富士通と理研、256量子ビット量子コンピューター開発
富士通と理化学研究所が、256量子ビットの超伝導量子コンピュータを開発したと発表しました。これは、2023年に公開された64量子ビットモデルをベースに、高密度な3次元実装で大幅にスケールアップしたものです。
しかも、冷却装置はそのまま、効率的な設計で、将来的な量子ビットの拡張も視野に入れています。両社は、量子と古典のハイブリッド計算を実現する新しいプラットフォームにこのマシンを統合予定で、さらに2026年には1000量子ビットのシステム開発も目指しています。

08:00 NTT、2.3兆円投資で再統合と社名変更
最後に、「NTT、データG2.3兆円でTOB 海外挽回へ再統合で主力シフト」と「新生「NTT」始動、「日本電信電話」から変更 視線は海外へ」の2つの記事を、まとめてお届けします。
2025年、NTTが正式社名を「日本電信電話」から、みなさんおなじみの「NTT」に変更することを発表しました。これは1985年の民営化以来、実に40年ぶりの社名変更です。この動きの背景には、グローバル展開の強化があります。
さらにNTTは、2.3兆円という巨額の投資をかけて、国内外でITやデータセンター事業を手がけるNTTデータグループを完全子会社化にします。AIや次世代通信「IOWN」との連携を深め、海外での巻き返しを狙います。
加えて、外国人取締役の初登用や、ブランドロゴ・字体の刷新、グループ会社の再編など、従来の「通信会社」から「グローバルICT企業」への脱皮を進め、NTTドコモ、NTTデーターを含む、One NTTで、インフラとサービスの両輪での強みを生かし、国内市場の成長が鈍る中、世界のデジタルインフラを担う存在になれるか、まさにNTTの世界的な戦略が本格的に始動されたといえるでしょう。今後のNTTのグローバル戦略、そして日本企業の国際競争力の行方にも注目です

09:19 今回の主要記事10選まとめ
光電融合のワードが急浮上し、国内外で技術競争が繰り広げられています。
また、データセンター向けの省電力技術の革新は継続しており、引き続き大きなテーマといえるでしょう。
日本では国産量子コンピューターがスケールアップし、今後、先行するアメリカ・中国にいかに戦いを挑んでいくのか、非常に気になるところです。
そして日本の巨艦NTTが、ITやデータセンターに主戦場を移し、従来の通信会社からグローバルICT企業への脱皮を試みる歴史的な変化が訪れた、という1カ月でした
