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光周波数コム×量子通信 │ Vol.78

製品紹介 , 光技術解説

【sevensixTV】に第78弾の動画を更新しました。

00:33 光周波数コム「Frush」
01:12 量子技術とは
01:41 量子通信に使われる光
03:03 単一光子対の発生方法
03:38 単一光子対の開発トレンド
04:04 光子対の発生頻度を上げる
05:22 光周波数コムの各チャネルを利用

光周波数コム『Frush』のアプリケーションとして、「量子通信」というテーマで紹介します。量子光源として、どのような技術が
求められているか、光周波数コム『Frush』がどのように貢献できるのか、について事例とともに紹介します。

++++(動画内より一部抜粋)+++++

本日は、自社製品のひとつ、光周波数コム「Frush」のアプリケーションとして、 「量子通信」というテーマでお話しします。 Youtube vol 70で、「超短パルスレーザーと量子計測」というテーマでお話ししました。
ぜひそちらも参考にしていただければと思います。 

00:33 光周波数コム「Frush」

まずは光周波数コム「Frush」について紹介させてください。 
EO変調方式のコム発生器です。 1.5um帯域の挟線幅レーザーを外部入力光源として使用します。 コムの間隔は12~18GHz。 時間領域ではピコ秒パルスとして出力されます。 

Frushは、非常にユニークな特長をもった光源です。 このような光源が、量子技術の発展にどのように貢献できるのか、という視点からお話しできればと思います。 

01:12 量子技術とは

まず、量子技術とは。それは、「量子力学」という物理法則を積極的に利用した、従来とは異なる技術です。 
・イメージング、分光などの計測技術 
・量子コンピュータなどの情報処理技術 
・暗号通信などの通信技術 
として研究開発が進められています。 
本日のトピックは、量子コンピュータや量子暗号通信に関連しています。 

01:41 量子通信に使われる光

では、量子通信に使われる光とはどのような特徴があるのでしょうか。 
まず、一般的な光通信に使われる光について説明します。 図のように、1と0の二値で情報を伝える場合、1の時の信号光には大量の光子が含まれています。 どれぐらいの光子数かというと、1mW程度の強度の信号光だとすると、 1秒間あたり、10の15-16乗個の光子が含まれています。 もはや、光の粒という性質は全く見られません。 

一方で、量子通信に使われる光は、光子1個1個が主役です。光子1個1個に、偏光などの光の性質を情報としてのせて、通信します。  

もうひとつ、量子技術において重要な光として、単一光子対が利用されています。 これは、互いに相関のある2つの光子を1セットとして、この光子対に情報をのせて通信します。量子暗号など、より高度な通信が行えます。まさに量子力学の世界です。 

では、どうしたらこのような単一光子とか、単一光子対をつくることができるのか。 
ここからは、単一光子対に話を絞って説明します。 

03:03 単一光子対の発生方法

光子対を発生させるために、 パラメトリック下方変換という方法が広く用いられています。 非線形光学過程のひとつで、入力光子が光学結晶に1個入射すると、2つの光子が出力される現象です。 
右側の図の縦軸はエネルギーに相当しますが、入力光子のエネルギーが、出力光子2個に分配される現象です。 入力光として、 挟線幅のCWレーザーや、超短パルスレーザーが使用されています。 

03:38 単一光子対の開発トレンド

量子光源として重要な単一光子対の発生や利用について、 研究開発テーマのひとつとなっているのが、 「セキュリティを保ちながら、情報の高密度化を図ること」 です。 ここでいう「セキュリティ」とは、 純粋に「単一」であること、つまり同時刻に複数の光子対が存在しないこと、を意味します。 

04:04 光子対の発生頻度を上げる

高密度化のためのひとつの方向性が、 「光子対の発生頻度」をあげる、です。微弱なCWレーザーを入力光とすると、ぽつ、ぽつと確率的に単一光子対が発生します。  

ここで、発生頻度をあげるために、レーザー光の強度を上げていくと、同時に複数の光子対が発生する確率が増えてしまい、結果として情報漏洩の問題が生じます。 

そうならないために、レーザーとして、高繰返しレーザーを用いて、図のように単一性を保ちつつ、発生頻度を上げる、ということが行われています。 

こちらは2014年にNature系の雑誌「Scientific Reports」に掲載された論文です。 2.5GHzのEOコムを光源として使うことで、 Ti:Sapphireレーザーで達成していた記録76MHzを凌駕し、2.5GHzを達成しています。 さらにその後、50GHzまで達成しています。 弊社の光周波数コム「Frush」の繰返しが12-18GHzですので、 高繰返しの量子光源として、ぜひ検討していただけると嬉しいです。 

05:22 光周波数コムの各チャネルを利用

さて、「セキュリティを保ちながら、情報の高密度化を図ること」という研究開発トピックに対して、もうひとつのアプローチがあります。 光周波数コムの1本1本のチャネルを有効活用する という手法です。 
“Biphoton Frequency Comb”と呼ばれています。 この図は、挟線幅のCWレーザーから単一光子対を発生させる模式図を 周波数領域で描いたものです。 これを光周波数コムに拡張すると、 

図のようになります。 つまり、光周波数コムの1本1本から光子対が発生するので、光子の組み合わせ数が膨大になります。 そのため、多重情報を送ることができ、情報量が飛躍的に増加する、という技術です。

参考となる論文も掲載しておきます。 
1) Efficient generation of twin photons at telecom wavelengths with 2.5 GHz repetition-rate-tunable comb laser DOI: 10.1038/srep07468
2) Harnessing high-dimensional hyperentanglement through a biphoton frequency comb DOI: 10.1038/NPHOTON.2015.110
3) Quantum optical microcombs DOI: 10.1038/s41566-019-0363-0

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