【sevensixTV】に第121弾の動画を更新しました。
00:28 はじめに 光伝送の構成について
01:46 薄膜干渉フィルタ(TFF)
02:50 アレイ導波路回折格子(AWG)
03:56 まとめ TFFとAWGのメリットデメリット
『光伝送の仕組み:損失・増幅・分散』の第二弾です。
第一弾では「増幅」をテーマに、EDFAの仕組みについてお話ししました。 今回は第二弾ということで、MUX/DEMUXで生じる「損失」に絞ってお話しします。 薄膜干渉フィルタやAWGといったMUX/DEMUXの構造に踏み込みながら、各構造と損失の特徴について説明します。 みなさんが普段感じている疑問点、もやもや感が、少しでもすっきりすれば嬉しいです。
■ 第一弾:光伝送の仕組み/光増幅器(EDFA)編│Vol.95
■ 製品紹介:光増幅器 取り扱い製品一覧
++++(動画内より一部抜粋)+++++
光伝送には、損失・増幅・分散という重要なテーマがあります。第一弾では、「光増幅」についてお話ししました。
今回は第二弾、「損失」について詳しくお話しします。

00:28 はじめに 光伝送の構成について
こちらが光伝送の構成です。
左から信号光が入力されてきて、可変光減衰器でレベル調整をして、MUXで合波されます。
光増幅器で増幅し、ファイバ内を伝搬し、さらに増幅して、必要に応じて分散補償をして、DEMUXで再び分波して出力されます。

この一連の流れの中で、各デバイスや部材において損失、増幅、分散が生じます。今回は、MUX/DEMUXで生じる損失に絞ってお話しします。

光伝送に携わっている方の中には、なぜMUX/DEMUXはチャネルごとに挿入損失が違うのか、といった疑問をもたれている方がいるかもしれません。そのような疑問に対して、MUX/DEMUXの構造や原理にまで踏み込みながら、損失について説明したいと思います。

改めてMUX/DEMUXの役割について確認しましょう。MUXの役割は、波長の異なる信号を合波することです。
DEMUXの役割は、合波された信号を波長ごとに分離することです。つまり、波長ごとに分離する技術、およびその逆である合波する技術が重要です。
写真にあるシャボン玉やDVDでは色が分かれて見えていますが、その原理である干渉や回折現象がUX/DEMUXの技術に使われています。

01:46 薄膜干渉フィルタ(TFF)
MUX/DEMUXの構造は、代表的には2種類あります。ひとつ目は、薄膜干渉フィルタ(TFF)を用いた構造です。薄膜構造によって光が干渉し、特定の波長のみを選択的に透過させて、残りを反射させることができます。透過および反射の両方において損失があります。そのため、入射光に対して、透過光および反射光の強度はいずれも減少します。

TFFを複数使って、順に色を分けていけば、DEMUXを構成できます。この図で5番目のチャネルであるCh5に着目すると、Ch1からCh4まで4回反射していますので、Ch5の損失にはCh1からCh4までの反射損失が含まれます。
このように、チャンネルによって挿入損失が異なってきます。

これは実際のデータシートです。C45, C46, C47というのは波長に対応しています。
したがって、それぞれの波長を取りだすチャネルによって挿入損失が異なっているのが見て取れます。

02:50 アレイ導波路回折格子(AWG)
ふたつ目は、アレイ型導波路回折格子(AWG)を用いた構造です。入射した信号光を複数の経路に分けます。経路によって伝搬距離に差を付けて合波すると、回折および干渉現象によって、波長ごとに異なる角度に伝搬します。
この原理によって波長ごとに分離したり、逆に異なる波長の信号を合波することができます。

AWGを用いたMUX/DEMUXは、PLCという光導波路技術が使用されています。チャネルによる損失依存性はない一方で、挿入損失が大きく、また、波長数の増加にも対応できるといったメリット・デメリットがあります。

データシートを見ると、確かに挿入損失の値はひとつになっています。

03:56 まとめ TFFとAWGのメリットデメリット
それぞれのメリット・デメリットをまとめます。
チャネル数:TFFは通常16チャネル以下で使用されています。それよりも多い場合はAWGが使用されます。
PLCの技術:1×1のカプラから提供できるようです。挿入損失は、TFFは小さいのですが、チャネル依存があります。チャネル数が増えるに従い、損失は増加します。
一方、AWGの挿入損失はやや大きめですが、チャネル数を増やしても増加することはありません。偏波保持については、いずれも対応可能です。
コストは、TFFに比べてAWGはやや高めです。
しかし昨今では、AWGは技術的に確立されて安価になってきています。量産時にはコストメリットがあると思います。 個人的見解では、数量が少ない場合はTFF、量産でチャネル数が多い場合はAWGが良いのではないかと考えています。

今回、「光伝送の仕組み」のうち、損失について、特に、MUX/DEMUXの構造と損失の関係について説明しました。

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