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論文出版記念/めちゃシンプルな超短パルスレーザー│Vol.93

製品紹介 , 光技術解説

【sevensixTV】に第93弾の動画を更新しました。

02:06 SESAM を用いた超短パルスファイバレーザーの構成
02:40 SESAM -Free の超短パルスファイバレーザーの構成
05:05 3×3 カプラを用いた非線形増幅ループミラー
06:36 我々が提案したファイバレーザー
08:43 『iQoM』 とどう違う?

■ 今回出版された論文  Masanori Nishiura, Ryo Kageyama, and Tatsutoshi Shioda, “Efficient use of all ports of a 3 × 3 coupler in a nonlinear amplifying loop mirror-based fiber laser,” Opt. Lett. 48, 4312-4315 (2023)

■ iQoM 特設ページ https://iqom.sevensix.tech/

++++(動画内より一部抜粋)+++++

こちらがその論文で、埼玉大学の塩田先生との共著となっております。タイトルを翻訳すると「3×3カプラを用いた非線形増幅ループミラーベースのファイバレーザーにおける全ポートの効率的な利用」というようになるんですけれども、
もっと簡単に言うと**「安価な超短パルスファイバレーザーを作りました」**ということです。

この論文のターゲットは、ファイバレーザーや超短パルスレーザーの発振器・増幅器、またはそれらを応用した研究をしている研究者やエンジニアの方々です。

02:06 SESAM を用いた超短パルスファイバレーザーの構成

この論文の出発点は、市場にあるほとんどの超短パルスファイバレーザーが「SESAM(半導体可飽和吸収ミラー)」を使っているという点にあります。ただ、このSESAMには、皆さんもご存知の通りいくつかの課題があります。

  • ● 破壊閾値が低い
  • ● 経年劣化が起きる
  • ● 供給メーカーが少ない

しかし、こうした課題があるにもかかわらず、SESAMは依然として超短パルスファイバレーザーに使われています。
例えば、我々が代理店をしている中国の「Optizone」というメーカーでは、SESAMを長寿命化するために「マルチポイント・オートマティック・スイッチング・テクノロジー」という技術を採用しています。
なぜ、そこまでしてSESAMを使い続けるのか。それは、「SESAMを使わない発振器(SESAMフリー発振器)は高価だから」だと我々は考えています。そこで、「安価なSESAMフリー発振器を作ろう」というのが本研究の背景です。

02:40 SESAM -Free の超短パルスファイバレーザーの構成

具体的に、既存のSESAMフリー構成にはどのようなものがあるか、代表的な例を見てみましょう。

NALM(非線形増幅ループミラー)を用いた構成

点線で囲った部分がNALMです。しかし、この構成を見ると、NALMの中に増幅部分があり、さらに共振器部分にも増幅部分があります。これはつまり、**「励起用の半導体レーザー(LD)が2つ必要」**で、複雑な制御や多くの部品点数が必要になることを意味します。結果として、発振器全体が高価になってしまいます。

フィギュアエイト(Figure-9)構成

この場合、NALM部分は比較的シンプルですが、「位相シフター」という特殊な部品が必要になります。これは研究者が自作するか、メーカーに特注する必要があるため、装置が大型化したり非常に高価になったりします。

結論としてのジレンマ

  • NALM部分をシンプルにすると、共振器部分が高くなる
  • 共振器部分をシンプルにすると、NALM部分が高くなる

結局、どちらかが高価になってしまうというジレンマがありました。

05:05 3×3 カプラを用いた非線形増幅ループミラー

そこで、共振器もNALMもどちらも安価にするために注目したのが、最近研究されている「3×3カプラ」を用いたNALMです。
3×3カプラのポートを活用することで、共振器内での増幅が不要なNALMファイバレーザーを構成できます。しかし、これまでの先行研究でも、アイソレータに高出力対応の(高価な)ものが必要だったり、サーキュレータが必要だったりと、どこかにコストやサイズの問題が残っていました。
我々は、この3×3カプラをもっとうまく使い、**「よりシンプルで安い」**ファイバレーザーを目指しました。

06:36 我々が提案したファイバレーザー

こちらが我々の開発したファイバレーザーの構成です。

レーザー構成

開発のポイント

最大の特徴は、**「発振器と増幅器が一体の構成」**になっている点です。

  1. 励起LDの外部配置: 励起LDを共振器の外に配置しました。
  2. 3×3カプラによる電力分配: 励起光を3×3カプラで3分割し、そのうち2つをNALMの中に、残りの1つを増幅器に供給します。
  3. 極めてシンプルな内部構成:
    • NALM内にはWDMカプラすら不要。
    • 共振器部分は、バンドパスフィルタとアイソレータのみ。
    • 増幅器部分もWDMカプラやアイソレータのない非常に簡素な構造。

これら全てをシンプルにすることで、レーザー全体を低価格かつコンパクトに抑えることができました。

08:43 『iQoM』 とどう違う?

今回ご紹介したレーザーには、いくつかの制限や特有のノウハウもありますが、それらについても論文に詳しく記載しております。興味のある方はぜひ概要欄のリンクからご覧ください。

また、我々が販売している超短パルスファイバレーザー「iQoM(アイコム)」についても少し触れておきます。今回の開発品は非常にシンプルで使いやすいものですが、iQoMはこれに比べて約20倍の出力があり、半導体レーザーの制御もより簡単という利点があります。

我々は引き続き「iQoM」の製造・販売も継続してまいります。特設サイトのリンクもございますので、併せてご確認ください。

動画内の製品紹介

超短パルスファイバレーザー『iQoM』

iQoM」は、特許技術により「高信頼・長寿命・小型・低コスト」を実現した、OEM・研究開発に最適な超短パルスファイバレーザー(超短パルス発振器)です。SESAMフリーの独自技術により、従来の課題であった経年劣化や不安定な始動を克服。安定したピコ秒パルス光源を供給します。


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