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『モード同期ファイバレーザー』の数値解析の実例紹介│Vol.27

光技術解説

【sevensixTV】に第27弾の動画を更新しました。

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00:49 超短パルスレーザーの数値解析とは
02:13 数値解析の特長
04:58 数値解析の出力例

超短パルスファイバレーザーでは、光パルスは導波路(光ファイバ)と強く相互作用します。

もし、光ファイバ中で光パルスが受ける非線形光学効果と光ファイバの分散の影響を考慮した高精度な数値解析ができれば、ファイバレーザーの開発がスムーズになります。

セブンシックスは、Generalized nonlinear Schrödinger equation を、Interaction Picture Method という解析方法を用いることで、超短パルスファイバレーザー(モード同期ファイバレーザー)の高速かつ高精度な数値解析を可能としました。

セブンシックスは、独自に開発したモード同期ファイバレーザーの数値解析により、自社開発製品である iQoM の高性能化に取り組んでいます。

■ 動画内製品紹介:超短パルスファイバレーザー『iQoM』

++++(動画内の抜粋)++++

00:49 超短パルスレーザーの数値解析とは

超短パルスレーザーの数値解析がどういうものかをご紹介します。

モード同期ファイバレーザー発振器内では、光パルスが発振器内をグルグル回ったり、行ったり来たりを繰り返しています。
数値解析とは、光パルスが発振器内のどの位置で、どのような状態であるのかを精密に計算して、最終的に得られる光パルスを推測します。
ファイバレーザーでよくこの数値解析が行われていますが、他の固体レーザーと違って、光パルスが長尺の光ファイバを伝搬します。
そうすると、非線形光学効果や、光ファイバの分散といった効果を強く受けます。
この効果が悪い方向に作用することもありますが、この効果を精密に制御することができれば、高精度なレーザーの開発に役立てることができます。

02:13 数値解析の特長

我々の数値解析の特長をご紹介します。 通常数値解析は論文中において、実際に開発したレーザーが妥当なものか?
もっと高出力にできないか? という確認のために使われています。

我々が開発している iQoMファイバレーザーの高精度化のために数値解析しています。 論文で使われるような数値解析とは異なる特長が必要となります。 特長は2つあります。
(1) 使い勝手がいい
(2) 高速
であることです。

我々の数値解析では、まず一般化された非線形シュレディンガー方程式を、インタラクションピクチャーメソッドという方法で解きます。通常の数値解析では一つの長いプログラムの中に、レシピと呼ばれる光ファイバーのパラメーター等を一緒に書き込んでいるのですが、我々の数値解析ではそういった各光ファイバのパラメーターや部品のインサーションロスの情報、またキャビティのデザインというのはエクセルで記載させています。プログラムでこのエクセルをインポートすることで、色々な出力結果をグラフ化してみせることが出来るようになっています。


また、キャビティデザインですが、今実証しているのはこちらの画像でご覧いただいている5種類のレーザーです。
このどちらのキャビティデザインを採用するかは、エクセルで簡単に設定出来ます。

また高速性の面では先ほどご紹介したインタラクションピクチャーメソッドという方法を採用しているのですが、こちらは、通常のファイバレーザーの数値解析に行われるSplit Step Fourier法と比べて非常に高速で誤差が小さい、つまり精度が高いという特長があります。これら2つの使い勝手のよさと高速性を兼ね備えた数値解析を用いることで、研究開発のスピードを加速させています。

04:58 数値解析の出力例

具体的にどういったアウトプットが得られるかというのをこちらでご紹介します。
こちらは実際に数値解析を実行中に出てくるリアルタイムのスペクトルとパルス形状データです。
※Youtube内ではリアルタイム画像。

1秒に1回ほど、他のものと比べて高速な数値解析ができています。これは実際にプログラムを回している時にリアルタイムに出てくるもので、この後最終的にプログラムが終わったときには、大きく分けて3つのアウトプットを出します。

1つ目:最終的に得られる、出力パルスの平均出力、パルスエネルギー、パルス幅。
2つ目:共振器1周ごとに出力される光パルスの状態を示すもの。
3つ目:実際には測定することはできない、共振器1周内で光パルスがどのようになっているかの状態を表すものです。

こちらの図は、実際に開発したレーザーの実験結果と数値解析結果を比較しているものです。
青色の線が実際の実験結果で、赤色の点線が数値解析結果です。細部にわたって数値解析結果と実験結果が一致していることが分かります。

こちらはスペクトルの比較のみですが、平均出力・パルスエネルギー・パルス幅のすべてが90%以上の精度で一致しています。

こちらは、発振器1週ごとのパルスの挙動を示すものです。
左側は、発振器1周ごとに出されるパルスのスペクトルと時間波形をプロットしたものです。カラーバーで非常に鮮やかに示しています。こちらから実際に各種データを読み込んだものが、右側の図になります。

パルスが1周するごとに、パルスエネルギーが増えているのか減っているのか、スペクトルが上がっているのか下がっているのか がわかるようになっています。

最後が、発振器1周内のパルスの挙動を示すものです。
先ほどと同じくスペクトルと時間波形の情報を示しています。こちらの右側の図を用いることで、この位置の光ファイバの長さをあと10cm短くした方が良いのか、部品のILをもう少し小さいものに変えたほうが良いなど、そういったことがわかるようになっています。

我々は今回ご紹介した数値解析を用いて、『iQoM』の開発に活かしています。実際に実験した後にすぐに数値解析を回して、その結果と実験結果の比較をします。

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#超短パルス