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宇宙のレーザー通信│Vol.144

光技術解説 , 業界・ビジネス動向

【sevensixTV】に第144弾の動画を配信しました。

00:15 衛星レーザー計測の概要​
01:25 衛星LiDARの技術​
02:39 今後の展望

「宇宙で活躍するレーザー技術」をテーマに、何回かに分けてお送りします。​
今回は第二弾で、宇宙での「レーザー計測通信」です。 レーザーに求められる性能や課題などをお話しします。​

次回以降はレーザー計測やレーザーによる宇宙ゴミの除去などを予定しています。​ レーザーは地上だけではなく、宇宙でも大活躍しています。​ レーザーの魅力についてお伝えできればと思います。

■ 映像・資料提供:NASA
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00:15 衛星レーザー計測の概要

これは、ICESat-2という衛星で、レーザーで地球の表面高度を計測しています。2018年9月に打ち上げられ、現在も現役で運用中です。

衛星ICESat-2

01:25 衛星LiDARの技術

衛星にはレーザー高度計が搭載されていて、ATLASと呼ばれています。基本となる技術はLiDARでして、レーザーパルスを地上に照射し、レーザーパルスが戻ってくるまでの時間を計測します。その時間から、探査機と地表間の距離を計算します。

レーザー高度計ATLAS

これまでは、航空機で計測されていました。航空機のほうが、精度が高いというメリットはあるものの、デメリットとして、コストが高く広域カバーが難しい。頻繁な再観測ができず、長期モニタリングに不向きで、領空制約や危険地域での観測が困難です。

航空機計測のメリットデメリット

最近の注目すべき成果として、AIによる画像復元技術のおかげで航空機に匹敵する解像度が得られるようになってきました。最近は、衛星レーザーのみで
浅い海の海底地形が明らかになったり、
森林バイオマスが地球規模で可視化されたり、
氷河が溶けて減る速さが広域で明らかになったり、
積雪の深さや密度を詳しく推定できるようになってきました。
衛星レーザーのおかげで、地球規模で定期健康診断ができるようになってきた、と言えるかもしれません。

AIによる画像復元技術

ATLASのベースとなる技術は、レーザー技術と、望遠鏡技術です。

ATLASの技術

レーザーの仕様は、
波長: 532 nm
繰返し:10 kHz
パルス幅:約 1.5 ns
パルスエネルギー:0.5 mJ
です。
空間光学系が利用されていまして、レーザーボックスからのレーザー光はミラーで反射されて、ビーム走査ミラーで下側に出射されます。

空間光学系のレーザー仕様

下側へ出射される際に、回折光学素子を通過し、ビームは6本に分割されます。

回折光学素子

6本のビームには強度差が与えられています。また、地表での6本のビーム間隔は、図のように90mおよび3.3kmとなっています。このようなビーム構成によって、表面スロープや地形変化に強い幾何配列となっています。

地表での6本のビーム間隔

受光側には、直径1m弱の望遠鏡が使用されています。出射された 300 兆個の光子のうち、戻ってくる光子はたった12個程度です。そのため、効率良く集光できるように、望遠鏡が利用されています。

受光側は望遠鏡使用

6本のビームから集められた光は、それぞれ6本の光ファイバーに集光され、検出器に入ります。
フォトンカウンティング法という、光子を1個1個数える方法によって、光子ごとに到達時刻を計算して、地表の高度情報を取得します。

フォトンカウンティング法

02:39 今後の展望

衛星レーザー計測は、地球モニタリングの標準計測器として今後も利用されます。レーザーの複数波長化によって、海洋・陸・氷の多用途に対応し、パルスの高繰返し化によって、高解像度な撮影を実現し、誤差補正の自動化によって、大気や雲によるビームの揺らぎを補正するなどが今後計画されています。

地球の健康状態が、これからますます詳細に、宇宙から監視されることになりそうです。

衛星レーザー計測今後の展望