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超低位相雑音な光及びマイクロ波のおはなし│Vol.109

製品紹介 , 光技術解説

【sevensixTV】に第109弾の動画を更新しました。

00:20 超低位相雑音な光とマイクロ波の用途
01:14 超低位相雑音なマイクロ波の用途:高感度ドップラーレーダー
01:59 超低位相雑音な信号源の例:マイクロ波(上)と光(下)
04:02 光周波数コム:位相同期された複数の連続波レーザーとマイクロ波の信号源
04:46 光周波数コムによって光周波数とマイクロ波をリンクさせて実現した超低位相雑音な光とマイクロ波の信号源
06:12 光周波数コムに留まらない次世代型 Frush を開発中(特許申請済み)

超低位相雑音な光及びマイクロ波信号に関する簡単な紹介をします。必要性から具体的な信号発生方式及びその性能まで説明します。つきまして、自社製品であるFrushの紹介と新しい超低位相雑音Frushの開発計画を発表します。

■ 動画内製品紹介

光周波数コム発生器『Frush』

光信号のモニタ出力が 1 ポート、RF信号のモニタ出力 が 2 ポートありますので、外部のシステムとの同期も可能です。
本発生器からの光パルスをBOA や EDFA で増幅してパルスのピーク出力を増大させた後、高非線形ファイバに入力することで 数十nm の広帯域コムスペクトルを得ることができます。

++(動画内の抜粋)++++++++++++++++++++++

00:20 超低位相雑音な光とマイクロ波の用途

今回は、超低位相雑音な光とマイクロ波信号源の重要性について解説していきます。
超低位相雑音の光やマイクロ波は多様な領域で使用され各種応用システムの性能を劇的に向上させています。 

例えば、光時計や時間 / 周波数の測定、レーダーなどで利用されています。 
シグナルソースアナライザ等の計測機器の中には測定対象より位相雑音の低いシグナルソースが必須となります。 
GPSや大型加速器での様々な信号の同期にも重要です。 

また、既存のRFベースのレーダーに光技術を組み込んで改良したフォトニックレーダーのデモも行われています。 
超安定なレーザーを使用して重力波を検出し、ノーベル賞を受賞した例もあります。 

01:14 超低位相雑音なマイクロ波の用途:高感度ドップラーレーダー

こちらの図は、レーダーの探知感度にマイクロ波の位相雑音がどの様に影響するかが分かりやすく示されています。
発射されたマイクロ波は物体に反射して戻ってきます。その際にドップラー効果によって 周波数がシフトされます。
位相雑音が高い場合は戻って来る弱い信号は元の信号の位相雑音に埋もれてしまい測定できません。 
しかし、位相雑音が低い場合には測定が可能です。 
従って、マイクロ波信号源の位相雑音はレーダーの探知距離、分解能、探知可能な速度などを決定する重要な要因となります。 

01:59 超低位相雑音な信号源の例:マイクロ波(上) と 光(下)

こちらは、最高の位相雑音性能を持つ代表的な マイクロ波(上) と オプティカル信号源(下) を並べた図です。

(上)クオーツクロックにロックされたシグナルジェネレーターは最も一般的に使われている汎用的の信号源です。 
オプトエレクトロニクスオシレーターとサファイアオシレーターはクオーツクロックより遥かに性能が高いです。 
オプトエレクトロニクスオシレーターはロスが低くクオリティーファクターが非常に高い長い光ファイバーを使用したり、サファイアオシレーターを使用していますので短期間の位相雑音が非常に低いです。サファイアを極低温で冷却すると長期間の位相雑音安定性も非常に高くなります。 
オプトエレクトロニクスオシレーターとサファイアオシレーターは雑音性能は優れていますが、周波数の可変性が限られているため汎用性は低いと言えます。 

(下)オプティカル信号源について説明します。”Ultra-stable cavity-stabilized cw laser”は、ロスが低くクオリティーファクターが非常に高い反射率が99.999 %ぐらいのハイフィネスファブリペロー共振器と長いファイバーとマイクロ共振器を用いて安定化された連続波レーザーです。 
”Optical fiber delay line-stabilized cw laser”は、周波数が非常に高い数百テラヘルツを用いるため、ほかのRF部品や外部環境による雑音に対して非常に敏感に位相雑音の検出が可能です。従って、世界最高の短期間位相雑音性能を持っています。しかし、長期間の位相雑音安定性を向上させるためには別途の原子を使用する必要があります。
光周波数コムを用いて光周波数と位相雑音を同時に分割してマイクロ波を生成することも可能です。 

04:02 光周波数コム:位相同期された複数の連続波レーザーとマイクロ波の信号源

光周波数そしてマイクロ波周波数も同時に生成できる光周波数コムについて説明します。 
光周波数コムは時間軸で見ると非常に短いパルスが出ます。 
周波数領域で見ると、中心は数百テラヘルツの光周波数を持ち、RF マイクロ波周波数の間隔を持つ多数のモードで構成されています。 従って、光周波数とマイクロ波周波数を繋げることができるし、光周波数を分割して位相雑音が非常に低いマイクロ波信号も作れます。

04:46 光周波数コムによって光周波数とマイクロ波をリンクさせて実現した超低位相雑音な光とマイクロ波の信号源

光周波数コムを歯車のように用いて連続波レーザーとマイクロ波発振器を繋げて非常に位相雑音が低いマイクロ波を生成した例を紹介します。 
前のスライドでご紹介したハイフィネスファブリペロー共振器に安定化された連続波レーザー、そしてサファイアオシレーターです。
安定化された連続波レーザーにコムをロックさせた後、フォトダイオードで5万倍分割された10 GHzマイクロ波を抽出します。 
従って、位相雑音も5万倍、つまり94デシベルほど減ります。 フォトダイオードのショットノイズによって、このぐらいにこのぐらいに制限されます。 
一方で、サファイアオシレーターはこのぐらいの雑音(※図右側)を持っています。 
従って、サファイアオシレーターからのマイクロ波を10 kHzぐらいのフィードバック帯域幅で光からのマイクロ波にロックさせて、この様な雑音を持つマイクロ波が生成されます。
1 Hzからナイキスト周波数である5 GHz範囲のタイミングジッタは0.6 fsです。

06:12 光周波数コムに留まらない次世代型 Frush を開発中

弊社はFrushというElectro-opticコムを販売しております。これは光周波数コムの一種ですが、普通のコムに比べてモード間隔が非常に広く、Tunabilityが非常に良いので、計測分野の応用で汎用的な光コムとして、非常に期待されている光コムです。

連続波レーザーとマイクロ波信号をFrushに入れると、基本仕様でこの様に光コムとピコ秒パルスが生成されます。もちろん、周波数帯域を拡張させてフェムト秒パルスができるオプションも販売しております。 

この周波数コムの場合は外部の連続波レーザーとマイクロ波信号の位相雑音によって雑音性能が決まります。 
今のところはまだ外部の信号源に依存していますが、今、位相雑音が非常に低い連続波レーザーとマイクロ波を比較的簡単な方法で生成させ、Frushを駆動する装置を開発しております。
新しい超低位相雑音Frush かつ 連続波レーザー かつ マイクロ波同時発生器を 楽しみにしていてください。

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