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『新データセンター』 建設ラッシュの陰に潜む課題とは?!│Vol.020

業界・ビジネス動向

【sevensixTV】に第20弾の動画を更新しました。

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0:32 国内DC市場規模予想
6:11 3つの課題点
6:46 DC老朽化の現状
9:18 PUE vs 築年数
12:43 5G DCに対する需要

今回は日本のDCの動向および今後の予想についてお話をしたいと思います。
昨今のクラウドサービス需要を背景にしたハイパースケールデータセンターの建設ラッシュが 進む一方で、その陰に潜む課題に関してお話します。 そして、今後IOT、AI、5Gを背景にした今後の需要を予測していこうと思います。

参考資料 https://www.meti.go.jp/policy/mono_in…

0:32 国内DC市場規模予想

<羽根>
今回DC第二弾ということで、日本のDCの動向において、また今後果たして期待できるマーケットなのかということを話していきたいと思います。
早速ですが、こちらの資料をご覧ください。
2020年に発表された調査会社の国内データサービス市場の最新予想です。



2020年のデータセンターの国内市場規模は、1.5兆ということででていますが、2024年では、約1.5倍の2.5兆円近くに達します。年間成長率は約10%になると予想されていて、需要の高まりは継続されていくと期待されていますが叶さんいかがですか。

<叶>
近年のクラウドサービスの急速な普及を受けまして、アマゾン等のクラウド事業者向けの大規模かつ大量の電力を供給可能な「ハイパースケールデータセンター」の需要が拡大しつつある状況です。
クラウド用途の拡大により、今後もデータセンターの需要は拡大すると思いますが、プラスしてIoT、AI、そして5G等の普及により、 更にこの傾向が強まる一方ではないでしょうか。

<羽根>
ここで、「ハイパースケールデータセンター」 がすごく気になるキーワードだと思うんですけど、具体的にどういうデータセンターなのか、また国内データセンターのトレンドについて、教えていただけますか。

<叶>
このハイパースケールデータセンターの定義は、①サーバー室の面積5,000平方メートル以上②電力供給量が1ラックあたり6KVA になります。

また、それを実際に使っている利用者のほとんどがクラウドサービス事業者、例えばAmazonであったり、Googleなど、このような大手サービスプロバイダになります。具体的には、関東では、千葉の印西、成田空港にいく途中にあるエリアだと思います。関西では、大阪の北のほう、千里よりももっと北のほうにある、彩都という新しい開発されたエリアがあるんですが、こちらに複数のそういったハイパースケールデータセンターが今ありますし、新しいセンターの建築が進んでいます。

こういった都市 印西、彩都というのは大阪、もしくは東京から少し離れていますが、その分日本特有の地震とか津波、こういった災害の影響は少なくなるというメリットもあります。

また、従来のデータセンター事業者だけでなく、海外から色々な新しい事業者が参加してきているので、その分当然競争も厳しくなっていくと思います。このようなトレンドがあります。ただ、利用者にとっては、選択肢が広がるというメリットもあります。

一般企業、こういったところが好むデータセンターというのは、そういった郊外ではなく、交通の便が良く、いつでも行ける電車があったり、車でもすぐ行ける、こういった交通の便が良いところ、あとネットワークの選択肢が多い、色々な会社のネットワークのサービスメニュが使えるこういう都市型データセンターを選ぶ傾向がトレンドになっているようです。

<羽根>
ハイパースケールデータセンターについて少し聞きたいのですが、通常のデータセンターと言われるところと、ハイパースケールデータセンターは、サーバーの面積であったりの違いであるとかデータの供給量が違いであったりとかはわかりますが、内容としてはどうなのでしょうか。

<叶>
モノとしては、同じなのですが、今のご指摘の中で大きなポイントは、ハイパースケールデータセンターはラックがたつよりも、むしろスペースとして自由に使えるところが大きな特徴になっています。一方、一般企業が使うようなデータセンターは、ラック単位で使うということですので、ハイパースケールデータセンターの内容としては、ラックではなくて、スペースとして使うというところが大きな特徴になると思います。

6:11 3つの課題点

<羽根>
ビジネス拡大に伴って、課題というのは、大きく三つあるんではないかと思っていて、1つ目は、データセンターの老朽化、2つ目はというのが電力消費量、3つ目がエネルギー効率化。恐らくこれらの3つが大きな課題ではないか、このへんは叶さんどう思われますか。

6:46 DC老朽化の現状

<叶>
新しいデータセンターには、いわゆる免震設備、地震が来ても上が揺れる、揺れによって地震の力を逃す、そういった最新のテクノロジーが盛り込まれていますけども、10年以上前につくったデータセンターではそういった免震設備はないわけですから、もう設備的に太刀打ちできなくなります。また電源等バッテリーなど、そういった設備の更新にも大きな費用が必要です。
改築、新築には、もっと大きな投資を伴うため、おいそれとはいかないのではないでしょうか。

また、利用者側では、新しいデータセンターへの移動に関する手間暇であったり、費用が大きな課題となります。
一つ資料をご覧いただきます。

こちらのデータは、経産省HPからの引用になります。出典は、日本政策投資銀行になります。
このデータはですね、関東、関西両方で築20年以上経つサーバルーム面積が全体の半分近くを占めているということを示しています。僕も、この資料をみて本当にびっくりしましたが、半分以上が古いデータセンターであるということです。



今後この半分がどの用に解決策を提供していくかということが利用者にとっても非常に大きな、課題になっていくと思います。冒頭にもお話しましたが、最新のデータセンターが東京、大阪エリアで建ちつつあるんですけど、その陰では、このような老朽化というところが非常に大きな課題になっていくのではないかなと思います。

9:18 PUE vs 築年数

<叶>
次に、別の資料を見ていただきます。
こちらも、経産省資料からの引用になりますが、データセンター全体の消費電力を、サーバなどのICT機器の消費電力で割ったPUE(Power Usage Effectiveness)数値とデータセンターの築年数の相関グラフになります。

PUEは、如何に効率的に電力を使用しているかを示す数値で1.0に近いほど効率的ということになるのですが、こちらご覧いただくと、古いデータセンターは、例えば20年経っているデータセンターのPUEってのは、2.0にはならないんですけど、2.0に近くなりつつあって、あと逆に5年になると、これが1.2であるとか、そういう数値に近くなりつつあるということで、単純にいくと半分以上の効率、逆にいくと1/2の効率しかないということになってしまいます。

特に最近のデータセンター利用者は、複雑な演算を行うために、ラックに数多くのサーバーを詰め込んで回すわけなんですけど、非常に高熱が溜まってしまいます。データセンターには、こういったラックが数千ラック並んでいるため、これらをいかに効率的に冷ますかが大きな課題です。

そういうことでいくと古いデータセンターは新しものに比べると1/2の効率性しかないので、これはもうデータセンターの中に熱が溜まって非常に大きな問題になるということが大きな課題です。

これを如何に効率的に冷ますかが、今申し上げた通り大きな課題です。データセンターによっては、再生可能エネルギーで、より効率的に空調システムをやっていこうという検討が進んでいるようです。

具体的に言うと、中には、北海道では外気や雪を利用して空調を行っている事業者がいます。今後もより一層も電力エネルギー効率化していくということが大きなポイントになっていくものと思います。

12:43 5G DCに対する需要

<羽根>
このPUEのグラフで思ったこととして、この築年数が例えば新しいものゼロ年から15年、まあ20年だったりとか、でこんなに変わるというのは、これはひとつの技術革新だったりとか、そういうところに帰属しているのかなというところはあるんですけども、すごく技術が革新的に新しくなってきていて、効率もすごく良くなって、最新の機器がすごく良くなってきているってことがこれでわかるのかなというふうに思います。

さてもうひとつ、データセンターの市場規模は今後も増えていくということが期待できるということはわかったのですが、やっぱり気になるのは、5G。これは大きなキーワードになっているかと思うのですが、5Gが普及する事で、多くのデータが生成・配信されることになると、それらのデータを処理・蓄積するデータセンターに対する需要も大きくなると思いますが、いかがですか?

<叶>
まさにその通りで、現時点でも、既にGoogle・Amazon・Microsoftなどが提供しているクラウドサービスの利用が活発になり、データセンターの利用がそれにつれて増えていっています。

2021年、去年には半数以上が、半数以上の顧客がクラウド系サービスを使っているというような状況になります。今後は、そのおっしゃった5Gという、より通信の効率化が中心になっていくと、益々この流れが拡大して、もう元に戻ることはありえないと思います。これらのサービスを縁の下で支えるものがデータセンターですので、当然データセンターの需要も増えていくことになると思います。
ただ、こういったデータセンターの流れが、これが今後永遠に継続することではないと思います。
おそらくそんな遠くない未来には、今のデータセンターの利用形態から新しいものに変化していく可能性が高いのではないかと思います。そしてその時のポイントは、今おっしゃった5Gで色々な使い方で、より利用者側にデータをおいていく、いわゆるエッジと言われるそういうキーワードも出ていくことによって、データセンターの形態も変わってくるということが今後将来に考えられてくると思います。
今後こういった話も色々と次回以降で話させていただければと思っております。

<羽根>
ありがとうございました。また今後今日でたキーワードの中で、そういうデータセンターの老朽化であったり、電力消費量、エネルギーの効率化など、色んなポイントについて更に具体的にお話ができたらと思っております。
今日の資料とかは、概要欄に貼っておきますので、そちらのほうもチェックしてもらえればと思います。

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