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最適なPDを探す – フォトダイオードの種類やそれぞれの構造特性について解説! –

#光学部品

フォトダイオード (PD) とは

*1フォトダイオード は、光を電流に変換する半導体素子です。本記事では、このフォトダイオードの種類やそれぞれの構造、選び方について解説します。

フォトダイオードの種類とそれぞれの構造

フォトダイオードは、異なる用途や性能要件に応じて、いくつかの種類があります。そのフォトダイオードの種類やそれぞれの構造について解説します。

PNフォトダイオード

PNフォトダイオードは *2p型*3n型 の半導体によって構成されるフォトダイオードです。光がp-n接合に当たると電子と光子のペア (キャリア) が構成され、これが電流として抽出されます。


図1 PNフォトダイオードの基本構成

PINフォトダイオード

PINフォトダイオードは *4P層、I層、*5N層 によって構成されます。それぞれ、P層はアノード、N層はカソードとして機能し、I層はほとんど不純物が添加されていない真性半導体材料 で作られます。I層は光の吸収領域として機能し、多くのキャリアを生成することができます。

図2 PINフォトダイオードの基本構成

Avalancheフォトダイオード(APD)

Avalancheフォトダイオードは、内部で発生する雪崩効果を利用して信号を増幅するフォトダイオードです。
P層、I層、N層の他に *6雪崩効果 を発生させる増倍領域という層によって構成されます。また、I層はPINフォトダイオードよりも長く作られる事が多いです。

図3 Avalancheフォトダイオードの基本構成

Schottkyフォトダイオード

Schottkyフォトダイオードは金属とn型半導体の間に形成されるSchottky接合をもとにしたフォトダイオードです。Schottky接合は、特性の金属と半導体の組み合わせにより形成される非常に特殊なタイプの接合であり、p-n接合とは異なる特性を持ちます。

図4 Schottkyフォトダイオードの基本構成

多重量子井戸 フォトダイオード

多重量子井戸フォトダイオードは、半導体材料の極薄な層とそれらの間のバリア層から成る特殊な積層構造 を持つフォトダイオードです。この構造によって、キャリアのエネルギー状態や動きに特定の制約をもたらし、特性の光の波長に対する応答特性を向上させることができます。

各フォトダイオードの特徴

先ほど紹介したそれぞれのフォトダイオードの特性について解説します。

PNフォトダイオードの主な特徴

応答速度:中程度

PNフォトダイオードは PINフォトダイオードやSchottkyフォトダイオードと比べると応答速度が遅いですが、一般的なセンシング用途には十分な速度を持っています。

感度:中程度

光検出感度は中程度です。

その他

設計と製造が比較的シンプルであり、コストが低いことが多いです。

PINフォトダイオードの主な特徴

応答速度:高速

I層におけるキャリアの再結合が少ないため、PINフォトダイオードは高速な応答特性を持ちます。これは特に高速通信で有利となります。

感度:中程度

光検出感度は中程度ですが、キャリアの再結合が少ないためPNフォトダイオードよりは高い感度を持ちます。

波長範囲:広い

I層の存在により、広い波長範囲での応答が可能です。

Avalancheフォトダイオードの主な特徴

感度:高い

Avalancheフォトダイオードは、光によって生成されたキャリアを増幅する能力があります。これにより、低光レベルでも検出可能となるため、高感度な検出が可能です。

ノイズ

雪崩効果による増幅は、ノイズも増幅する傾向があります。特に、雪崩発生時のランダムな性質から、多少のノイズが加わることがあります。

動作電圧

雪崩効果を起こすためには、通常のフォトダイオードよりも高い逆バイアス電圧が必要です。

Schottkyフォトダイオードの主な特徴

応答速度:高速

Schottky接合はキャリアの再結合が少ないため、フォトダイオードとして使用すると高速な応答特性を持ちます。

感度:低い

他のフォトダイオードと比べると、Schottkyフォトダイオードは一般的に感度が低くなりがちです。

ノイズ

Schottkyフォトダイオードは、低いショットノイズを持つため、高品質なシグナル検出に適しています。

高周波数動作

Schottky接合のジャンクション容量は小さいため、高周波数での動作が可能です。

多重量子井戸フォトダイオードの主な特徴

応答速度:高速

量子井戸構造はキャリアの動きを制約するため、高速な応答特性を持つことが一般的です。

波長選択性

量子井戸を構成する材料の組合せ、組成、及び膜厚 によって、特定の波長に高い感度を持つことができます。これは特定のアプリケーションで特定の光波長の選択性が求められる場合に有利です。

低吸収損失

量子井戸が特定の波長の光を効率的に吸収することができるため、低吸収損失を実現できます。

用途例や選び方

各フォトダイオードがどのような用途で用いられているのか、それらの選び方を解説します。

主な用途例

種類用途例
PNフォトダイオード一般的な光センシングPNフォトダイオードは、基本的な構造を持つフォトダイオードとして、さまざまな用途に広く使用されています。そのシンプルな構造から、環境光センサー赤外線受信機などの一般的な光センシング用途に採用されることが多いです。例えば、照明の制御やディスプレイの明るさ調整、リモートコントロールの受信部としての利用などが挙げられます。また、基本的な光学的実験や教育用途にも使われることがあります。
PINフォトダイオード光ファイバーコミュニケーションでのデータ転送、データリンクでの信号受信、光を検出するセンサー、計測機器PINフォトダイオードはその高速応答特性から、特に光通信の分野で重宝されています。光ファイバーコミュニケーションでのデータ転送や、データリンクでの信号受信において、その迅速な光から電気への変換能力が活かされています。また、その広い波長範囲での応答性も利点として、さまざまな波長の光を検出するセンサーや計測機器にも使用されています。
Avalancheフォトダイオード長距離光ファイバー通信における受信機、LIDARAvalancheフォトダイオードは、内部でのキャリアの増幅機能を持っており、これによって非常に低光レベルでの検出が可能です。この高感度な特性から、長距離光ファイバー通信における受信機でよく採用されることがあります。信号強度が非常に弱くなる長距離の通信リンクでも、APDは有効な信号の受信を可能にします。また、精密な光センシングやLIDAR(光検出および計測)のような応用にも使用されています。
Schottkyフォトダイオード高周波数での光検出や、高品質なシグナル検出Schottkyフォトダイオードは、金属と半導体の特殊な接触領域で動作するため、一般的なPNフォトダイオードよりも高速な応答特性を持っています。この高速性は、高周波数の光通信や、高速なデータ転送が必要なアプリケーションで利用される際の大きな利点となります。さらに、その低い容量低いノイズ特性は、高周波数での光検出や、高品質なシグナル検出が求められる場面での使用が考えられます。
多量子井戸フォトダイオード特定の波長での通信、センシング多量子井戸フォトダイオードは波長選択性を活かした、特定の波長での通信やセンシングに特化した用途に適しています。例として、特定の波長での高速光通信や、特定の波長の光の存在や強度を高精度に検出する必要がある分野で利用されています。

選び方

ポイント
応答速度ハイスピード通信や高速計測が必要な場合は、PINフォトダイオードSchottkyフォトダイオードが適しています。
感度低光量での検出が必要な場合は、Avalancheフォトダイオードが適しています。
特定波長に対する感度特定の波長での高い性能が必要な場合、多量子井戸フォトダイオードが適しています。
コストコストが重要な要素であれば、PNフォトダイオードが低コストで提供されています。

このようにフォトダイオードは光量計測、イメージング、光通信における光信号検出など 多くの分野で広く使われています。

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用語集

用語意味
*1 フォトダイオード光を電流に変換する半導体素子 。光が当たると電流が流れ、その強さが電流の大きさを変化させる。これにより、光の検出や測定が可能になる。
*2 p型半導体不純物を添加することで正孔(ホール)が増え、正に帯電した半導体。
*3 n型半導体不純物を添加することで電子が増え、負に帯電した半導体。
*4 P層不純物を添加することで正孔(ホール)が増え、正に帯電した半導体層。
*5 N層不純物を添加することで電子が増え、負に帯電した半導体層。
*6 雪崩効果フォトダイオードに高い逆バイアス電圧をかけると起こり、 加速された電子が他の原子と衝突して多数の電子ホール対を生成し、キャリア が急激に増加する現象。この効果により、微弱な光信号の検出が可能になる。

« 筆者紹介 »

鈴木 涼介 博士前期課程 M1 *2024年2月現在

埼玉大学大学院理工学研究科数理電子情報専攻 電気電子物理工学プログラム 塩田研究室在籍。
主な研究テーマは「周波数領域相関を用いたワンショット任意光波形計測システムの研究」
セブンシックス株式会社技術顧問である塩田 達俊 准教授のもと、研究に取り組みながら企業へのインターン活動なども積極的に行っている。