目次
1. 光コネクタとは?
光コネクタとは光ファイバ同士を接続するための部品で、「コネクタ本体」とファイバを固定する「フェルール」、コネクタ本体とデバイス間の機械的な接続を提供する「かん合機構」から成ります。
ファイバの種類や用途、使用環境により多彩なタイプが存在し、光通信システムや光学系の構成において重要な役割を担っています。
光コネクタの種類と選び方
前項(コネクタの種類)で、光コネクタには用途や環境に応じて多彩な種類があると述べました。本項では、様々な光コネクタの種類と、その中から使用目的に合ったものを選定するために必要な規格やパラメータについて解説していきます。
光コネクタの種類と規格
光コネクタの種類 | 写真 | 対応規格 |
LC | TIA/EIA-604-10、IEC 61754-20 | |
SC | JIS C 5973(F04)、IEC 61754-4、IEC 60874-14(APC) | |
MPO/MTP | JIS C 5982(F13)、IEC 61754-7 | |
FC | JIS C 5970(F01)、IEC 61754-13 | |
ST | IEC 60874-10 | |
SMA905 | IEC 61754-20(F-SMA) | |
E2000 | IEC 61754、EN 186270 |
各コネクタの主な使用用途
各コネクタはそれぞれ、主に以下のような用途に用いられます。
コネクタ種類 | 主な用途 |
LCコネクタ | 非常に小型であるため、高密度に配列できる。構内配線や交換機などに用いられる。 |
SCコネクタ | 最も一般的。*3 LANの世界標準とされており、*1 CATVや公衆通信回線等に使用される。 |
MPO/MTPコネクタ | 複数の光ファイバを単一コネクタで同時に接続できるコネクタ。屋内配線や*2 WDMネットワーク、装置相互接続等に使用される。 |
FCコネクタ | 光ファイバを堅牢に接続したい場合に用いる。LANやCATVをはじめ、様々な計測器や光デバイスの接続に使用される。 |
STコネクタ | FCコネクタ同様に堅牢な固定が可能であるが、より着脱が容易。LANやCATV、伝送システム等に使用される。 |
SMA905コネクタ | マルチモードファイバのコネクタとして多く利用される。フェルール径が大きく、大口の通信に適している。産業用レーザーや光学分光計、軍用機器等に使用される。 |
E2000コネクタ | コネクタを引き抜くと同時にシャッターによって端子がカバーされるため、誤ってレーザー光が目に入ってしまったり、端子への汚れの付着を防ぐことが可能。高出力のアプリケーションに適する。 |
2. 光コネクタの品質を決めるパラメータ
光コネクタの特徴を見る際に重要なパラメータとして、挿入損失(Insertion Loss)と反射減衰量(Return Loss)があり、かん合機構やフェルール端面の研磨方法によって異なります。本項ではこうした損失や接続方法、フェルールの研磨方法に関して解説します。
挿入損失と反射減衰量
光コネクタの特徴を見る際に重要な、挿入損失(Insertion Loss)と反射減衰量(Return Loss)は、それぞれ以下のように説明されます。
接続損失
光ファイバを相互接続した際、コア同士の軸ズレにより、入射光の一部がコア外へ放射されてしまうことなどが原因で発生する損失です。理想的には0dBが望ましいため、値の小さいものほど良いと言えます。
反射減衰量
光は、屈折率が異なる材料同士の界面に入射すると屈折率の差により反射します。光ファイバを相互接続する場合、コア間の隙間やズレが原因となって接続部で屈折率の変化が生じるため、コネクタ同士の接続部分で入射光が反射し光源側へ戻っていきます。この戻り光と入射光のパワー比が反射減衰量です。基本的に戻り光は最小限に抑える必要があるため、反射減衰量は値が大きいほど良いとされています。
フェルールの研磨種類と特徴
フェルールの端面は、その研磨方法によって「PC」、「SPC」、「UPC」、「APC」といった種類に分けることができます。先程説明した損失の内、反射減衰量は研磨方法により異なってくるため、目的に合わせて適切な研磨方法を選択する必要があります。主な研磨方法とその反射減衰量の目安を次の表にまとめます。
表 フェルールの研磨種類と特徴、減衰量
かん合方式
光コネクタの「かん合機構」に用いられる方式は、コネクタ本体の種類により異なる。主な方式として、以下の3つの方式があります。
方式 | 特徴 | 例 |
プッシュプル方式 | コネクタを抜き差しすることで、光ファイバを着脱する。最も一般的。 | SCコネクタ LCコネクタ MPO/MTPコネクタ |
ねじ式 | その名の通りコネクタと接続先をねじによって固定する。しっかりとした固定が可能。 | FCコネクタ SMA905コネクタ |
バヨネットロック式 | コネクタと接続先の爪を噛み合わせ、回転させることで固定する。しっかりとした固定が可能であると同時に着脱も容易。 | STコネクタ |
3. 光コネクタの手入れ:光コネクタクリーナー
光ファイバのコアは、直径10m程度と非常に小さく、人間が視認できないほど小さな汚れであっても光の伝送に影響を及ぼします。
しかし、光コネクタの多くは端面が露出していて汚れが付着しやすい状態になっており、光コネクタを光デバイスに接続したり光コネクタ同士で相互接続する際には、端面を清掃する必要があります。
その際、一般的な布や紙を用いて端面を拭うと、かえって汚れや繊維を付着させてしまいます。そこで使用するのが光コネクタクリーナーです。光コネクタクリーナーは、光コネクタの清掃に特化した繊維を用いているため、端面への汚れの付着やコアを傷つけることなく清掃が可能です。
手軽にコネクタの端面検査が出来ます。
モデルによってはデモ機もございますので、
お気軽にご相談ください。
✓携帯性に優れたコンパクト設計
✓各種光コネクタに対応した豊富なラインナップ
4. まとめ
● 光ファイバを相互接続したり光デバイスに接続する際に使用する光コネクタには、その使用用途によりLCコネクタやSCコネクタなど様々な種類が存在します。これらコネクタの特徴を表す重要なパラメータとして、挿入損失と反射減衰量がありますが、特に後者はフェルールの研磨方法により大きさが異なり、目的に応じた選択をする必要があります。
● 光コネクタのかん合方式には、プッシュプル方式やねじ方式、ベヨネッタロック方式などがあり、それぞれ接続の容易さや堅牢さが異なります。
● 光コネクタのコアは露出しており汚れが付着しやすくなっていますが、汚れが付着したまま使用すると伝送に悪影響がでます。そのため、光ファイバを接続する際には、光コネクタクリーナーを用いて端面を清浄にする必要があります。
光ファイバを使ったシステムでは、光ファイバの先端にコネクタ(SC、FC、LCなど)が付いていますが、メーカの標準品についているコネクタが必ずしもお客様が必要とするコネクタと同一とは限りません。
そのような時、弊社保有の光ファイバ融着機か、光ファイバコネクタ化装置を用いて、光ファイバの取り付け、交換、修理をいたいます。 お問い合わせはこちら
5. 用語集
用語 | 意味 |
*1 CATV | Common Antenna Television、Community Antenna Televisionの略。テレビ放送の電波を受信しのテレビへ配信するための機器類一式のこと。もしくはケーブルテレビを指す。 |
*2 WDM | Wavelength Division Multiplexingの略。光通信技術の1つ。多数の波長の光を同時に1つの光ファイバに通すことで多重に通信を行う。高速・大容量の光通信が可能。波長分割多重とも呼ぶ。 |
*3 LAN | Local Area Networkの略。特定のエリア内に構築されたネットワークのこと。 |