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光ファイバの接続方法 – 各手法をカンタン解説!

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光ファイバの接続方法 

複数の *1 光ファイバ を接続する方法として、主に *2 コネクタ を用いて接続する方法と、光ファイバの表面を溶かして *3 融着 する方法があります。本記事ではそれらの違いについて述べた後、光ファイバの融着手法について解説します。 

まずは各手法について、どのような違いがあるのかについて説明します。 

コネクタ接続 

コネクタ接続とは、二つの光ファイバを光コネクタとアダプタを用いて接続する手法です。コネクタで光ファイバを接続すると融着接続と異なり脱着が可能であるという特徴があります。

コネクタ接続で用いるコネクタは融着接続を行う際に必要な機器よりも安価であるため、比較的安価に光ファイバを接続することができます。一方で、コネクタ接続の接合面による光の損失が融着接続に比べて大きい点、接合面の汚れや損傷の影響を受けやすい点などのデメリットがあります。このコネクタに接続する際の光ファイバの端面の仕上げには主に以下の種類があります。 

PC研磨

    PC研磨は光ファイバの端面を凸球面状に研磨するもので、接続する際には二つの研磨された端面どうしが物理的に接触します。このように研磨するのは、端面で生じる後方反射が光源まで戻り、光が不安定化することや光源が損傷することを防ぐことが目的です。

    凸球面状に研磨

    APC研磨 

      APC研磨は光ファイバの端面を一定の角度で傾斜して研磨するもので、接続する際には二つの傾斜するように研磨された端面が物理的に接触します。このように研磨すると端面が傾斜しているため、接続部での反射光は光ファイバの軸から離れた方向に逸れます。これにより反射損失がPC研磨よりも、さらに低減します。 

      このようにAPC研磨はPC研磨に比べて、より低い反射損失を実現することができます。また、これらの2つには互換性は無いため、同じタイプ同士で接続する必要があります。 

      融着接続(手順)

      融着接続とは、光ファイバの表面をアーク放電の熱によって溶融し一体化させる手法です。融着接続をするとコネクタ接続とは異なり、永久的に光ファイバが接続されます。また、コネクタ接続よりも損失が低く、高い信頼性がある点も本接続手法の特徴です。一方で一度接続するとコネクタ接続とは違い取り外しや再利用ができない点、接続するために専門的な機器と技術が必要な点、機器の導入によってコネクタ接続よりもコストが高くなってしまう点などがデメリットです。 

      光ファイバの融着手法 

      先ほど、光ファイバ同士を接続する手法として、コネクタ接続と融着接続が存在することを述べ、コネクタ接続の際の光ファイバの端面の研磨の種類や、各接続手法のメリットやデメリットなどについて解説しました。本項では、融着接続についてどのような手順で融着を行うのかについて説明していきます。 

      1. 準備 
        光ファイバを融着接続する最初のステップとして、光ファイバの外部コーティングや保護層を除去するストリップを適切に行い、光ファイバの *4 クラッド を剥き出しの状態にします。ストリップを行う際には、クラッドポンプストリッパー(Optizone社) などを用いて行うことが出来ます。 

      1. 端面のクリーニング 
        ストリップした光ファイバの端面をアルコールや特別なクリーニングソリューションで洗浄し、表面の微細な傷や汚れを取り除きます。 

        1. 光ファイバの切断 
          クリーバーと呼ばれるツールを用いて、光ファイバを適切な角度(90度)で切断し、端面を平らで滑らかな状態にします。正確な角度で切断することが、光ファイバ同士のずれをなくして正しく融着するために重要なポイントとなります。 

        1. 融着接続機への配置 
          融着を行う融着接続機に光ファイバを適切に配置して融着接続を始めます。この際、端面が適切な状態であるかを自動的に評価する接続機も存在します。配置が完了した後に軸調心という工程を行います。
          これは二つの光ファイバのコアを正確に合わせる行為で融着後の光ファイバの損失や反射減衰量を最小限に抑えるために重要な工程です。 

        1. 端面の溶融、光ファイバの接続 
          光ファイバの配置が完了した後に、光ファイバを融着するために端面を溶融します。この際、アーク放電やレーザーによって光ファイバ端を加熱して十分に溶かした後にお互いの光ファイバを接合させます。 

        1. 評価 
          溶融が完了したら、専門の機器を使用して光ファイバの接続を評価し正しく接合できていることを確認します。 

        1. 光ファイバの保護 
          最後に保護スリーブ(フジクラ) を融着部分のクラッドに配置し、接続を保護します。 

        一般的に以上のような手順で二つの光ファイバを融着接続します。また、融着機には単心(シングルコア)のファイバを融着する装置と、多心(マルチコア)のファイバを融着する装置があり、セブンシックスではどちらも取り扱いがあります。

        単心光ファイバは一本の光伝送コアを有するファイバで、多心光ファイバは一つのファイバ内に複数の伝送コアを有し、一本のファイバで複数の信号を同時に伝送することが可能なファイバです。

        もし光ファイバが損傷してしまったら…

        ▼ 光ファイバ端面損傷直せます!│Vol.103

        まとめ 

        • ● 光ファイバを接続する方法として、コネクタを用いて接続する方法と光ファイバの端を溶かして一体化させる融着接続という方法があります。 
        • ● 融着接続はコネクタ接続よりも、損失が低く高い信頼性があるという特徴があります。 
        • ● 融着接続はコネクタ接続と異なり、専用の融着接合機が必要であり手順に従って融着を行う必要があります。 

        用語集 

        用語 意味 
        *1光ファイバ 光信号を伝送するための細いガラスまたはプラスチック製の線。光は内部を反射し、長距離で高速にデータを送信できます。 
        *2コネクタ ケーブルやデバイスを接続するための部品。光ファイバコネクタは、光ファイバケーブルの端を他のケーブルや機器に物理的に接続します。 
        *3 融着 物質を高温に加熱して液状にし、その状態で合わせることで一体化させる工程のこと。光ファイバの接続においては、二つのファイバ端面を高温で溶かして一つに融合させること。 
        *4 クラッド光ファイバのコアの外側を囲む層で、光をコア内に閉じ込め、全反射を維持するために低い屈折率を持っている。

        « 筆者紹介 »

        鈴木 涼介 博士前期課程 M1 *2024年3月現在

        埼玉大学大学院理工学研究科数理電子情報専攻 電気電子物理工学プログラム 塩田研究室在籍。
        主な研究テーマは「周波数領域相関を用いたワンショット任意光波形計測システムの研究」
        セブンシックス株式会社技術顧問である塩田 達俊 准教授のもと、研究に取り組みながら企業へのインターン活動なども積極的に行っている。