製造業の競争力強化に欠かせないファイバーレーザー。「CO2レーザーとの違いは?」「導入効果は?」「最適な機種は?」といった疑問をお持ちではないでしょうか。
本記事では、ファイバーレーザーの基本原理から最新技術まで、導入検討に必要な情報を網羅的に解説。電力効率30%以上、メンテナンス頻度1/5、加工速度2-5倍という革新的性能を、実際の導入事例とコスト分析を交えてご紹介します。さらに、セブンシックス独自開発の超短パルスファイバーレーザー『iQoM』など、用途別の最適機種選定ガイドも掲載。博士号取得エンジニアによる技術サポートで、お客様の製造革新を全力支援いたします。
目次
1. ファイバーレーザーとは?基礎から応用まで完全解説
1-1. レーザーとは何か
レーザー(LASER)は “Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation” の略称で、「誘導放出による光の増幅」を意味します。通常の光と異なり、レーザー光は以下の3つの特性により、産業応用において圧倒的な優位性を持ちます。
- 🎯 指向性:拡散角0.001度以下の直進性により、数km先でも数cmの精度で照射可能
- 🌈 単色性:波長幅0.1nm以下の純粋な光により、材料の吸収特性に最適化可能
- ⚡ 高輝度:10¹²W/cm²以上のエネルギー密度により、金属の瞬間溶融・蒸発が可能
これらの特性を活かし、現在では年間3兆円を超える産業用レーザー市場が形成されており、その中でもファイバーレーザーは2010年以降急速にシェアを拡大し、2024年現在では産業用レーザー市場の50%以上を占めるまでに成長しています。
1-2. ファイバーレーザーの定義と仕組み
ファイバーレーザーは、光ファイバー自体を増幅媒体とする固体レーザーの一種です。従来の気体レーザー(CO2レーザー)や固体レーザー(YAGレーザー)と異なり、レーザー媒質・共振器・導光路のすべてが光ファイバーで構成されているため、「オールファイバー構造」と呼ばれます。
動作原理は、ファイバーコアに添加された希土類イオン(主にイッテルビウム:Yb³⁺、波長1030-1080nm帯)が、半導体レーザー(LD)からの励起光(波長915nmまたは976nm)により励起され、誘導放出によってレーザー発振する仕組みです。
💡 革新的メリット
光ファイバーの全反射により光が閉じ込められるため、従来型レーザーで必要だった複雑な光学系が不要となり、以下の驚異的な性能を実現:
項目 | ファイバーレーザー | CO2レーザー | 🎯 実際の効果 |
電力効率 | 30-40% | 8-10% | 電気代を年間400万円削減(5kW機の場合) |
メンテナンス頻度 | 1回/年 | 4回/年 | 保守費用を年間200万円削減 |
設置面積 | 2m² | 20m² | 工場スペースの90%削減 |
冷却方式 | 空冷 | 水冷 | チラー不要で設備費300万円削減 |
1-3. 増幅用ファイバーの構造(ダブルクラッドファイバー)
ファイバーレーザーの心臓部であるダブルクラッドファイバーは、同心円状の3層構造により高効率・高出力を実現します。この構造は、通信用ファイバーの技術を発展させたもので、日本の光ファイバー技術が世界をリードする分野です。
- 🔴 コア(直径10-50μm)
Yb³⁺イオンを0.1-1mol%濃度で均一添加。レーザー光が伝搬する領域 - 🟡 第1クラッド(直径125-400μm)
励起光を伝搬させ、コアとの相互作用長を最大20m以上確保 - ⚪ 第2クラッド
低屈折率ポリマーにより、励起光を完全に閉じ込め(開口数NA=0.46)

💡 実用的メリット:この独自構造により、1本のファイバーで数kWの出力を実現。さらに、ファイバーの曲げ半径を10cm程度まで小さくできるため、装置の小型化に大きく貢献。実際の製造現場では、従来のCO2レーザー装置(6m×4m)をファイバーレーザー(2m×1m)に置き換えることで、生産ラインの大幅な省スペース化を実現した事例が多数報告されています。
2. ファイバーレーザーと他レーザーの徹底比較
ファイバーレーザーの優位性を、実際の導入事例とコスト分析を交えて解説します。特に、CO2レーザーからの置き換えを検討されている企業様にとって、以下のデータは重要な投資判断材料となります。
2-1. 性能・コスト比較表
比較項目 | 🏆 ファイバーレーザー | CO2レーザー | YAGレーザー |
波長 | 1070nm | 10600nm | 1064nm |
金属吸収率(鉄) | 35% | 10% | 30% |
金属吸収率(アルミ) | 5% | 1.5% | 4% |
ビーム品質(M²) | <1.1 | 1.2-2.0 | 20-50 |
初期投資(5kW) | 3,000万円 | 2,500万円 | 4,000万円 |
年間電気代 | 300万円 | 900万円 | 1,200万円 |
年間保守費 | 50万円 | 200万円 | 300万円 |
5年間総コスト | 4,750万円 | 8,000万円 | 11,500万円 |
2-2. 材料別加工性能の違い
ファイバーレーザーの波長(1.07μm)は、金属材料に対して優れた吸収特性を示します。特に高反射材料での優位性は顕著で、従来加工が困難だった材料の高速・高品質加工を可能にしています。
材料 | 厚さ | 🚀 ファイバーレーザー 切断速度 | CO2レーザー 切断速度 | ⚡ 速度向上率 |
軟鋼(SS400) | 12mm | 3.0m/分 | 1.5m/分 | 200% |
ステンレス(SUS304) | 6mm | 5.0m/分 | 2.0m/分 | 250% |
アルミニウム(A5052) | 3mm | 15.0m/分 | 加工困難 | ∞ |
銅(C1100) | 2mm | 8.0m/分 | 加工不可 | 新規対応 |
真鍮 | 3mm | 10.0m/分 | 3.0m/分 | 333% |
📢 お客様の声:
「アルミニウム部品の生産性が5倍に向上し、受注対応力が大幅に改善した」
「銅材の精密加工が可能になり、新規市場に参入できた」
3. ファイバーレーザーの構成要素と発振器の仕組み
ファイバーレーザーシステムは、光通信技術をベースに発展した精密な光学システムです。各構成要素の役割と最新技術を理解することで、最適な機種選定が可能になります。
3-1. 基本構成と各部の役割
⚡ 1. 励起部(ポンプモジュール)
- 高輝度半導体レーザー(976nm、最大出力500W/個)を6-48個使用
- ポンプコンバイナで効率的に結合(結合効率98%以上)
- 温度制御により波長安定性±0.5nm、寿命10万時間以上を実現
🔥 2. 共振器部(レーザー発振部)
- 高反射FBG(反射率99.9%)と出力結合FBG(反射率10-50%)で共振器を構成
- Ybドープファイバー長15-30mで最適化(量子効率95%以上)
- SRS(誘導ラマン散乱)抑制技術により10kW以上の高出力化を実現
📡 3. ビームデリバリ部
- プロセスファイバー:コア径50-600μm、長さ最大200m
- QBHコネクタ:現場交換可能、接続損失0.1dB以下
- ビーム品質保持技術により長距離伝送後もM²<1.5を維持
3-2. 高出力化技術:ビームコンバイニング
単一ファイバーレーザーの出力限界(約10kW)を超えるため、複数のレーザーを結合する技術が実用化されています。セブンシックスでは、独自のビームコンバイニング技術により、モジュール方式での柔軟な出力設定を実現しています。
📊 導入メリット:
- ✅ 初期投資の最適化:必要出力に応じた段階的な投資が可能
- ✅ 冗長性の確保:1モジュール故障時も残りで稼働継続
- ✅ メンテナンスの簡易化:モジュール単位での交換により停止時間を最小化
4. ファイバーレーザーの種類と最適な選び方
用途に応じた最適なファイバーレーザーの選定は、投資効果を最大化する重要なポイントです。以下、発振方式別の特徴と選定指針をご紹介します。
4-1. CW(連続波)ファイバーレーザー
CWファイバーレーザーは一定出力を連続的に照射し、厚板切断や深溶け込み溶接に最適です。最新の技術革新により、単一モジュールで20kW、複合システムで100kW以上の出力が実現可能になりました。

🏭 実際の導入効果事例
自動車部品メーカーA社(5kW CWファイバーレーザー導入)
- 厚板切断速度:2倍向上(SS400 25mm厚で1.5m/分)
- 電力コスト:年間600万円→200万円(66%削減)
- 稼働率:75%→95%(光軸調整不要による)
- 🎯 投資回収期間:1.8年


光電変換効率75%以上の最新モジュールにより、電力コストを大幅削減。お客様の加工条件に基づいた詳細なROI計算書を無料で作成いたします。
4-2. パルスファイバーレーザー(ナノ秒~マイクロ秒)
パルスレーザーは、高ピークパワー(平均出力の1000-10000倍)により、熱影響を最小化しながら精密加工を実現します。マーキング、微細穴あけ、薄膜除去など、品質要求の高い加工に最適です。

🎯 パルスレーザー選定のポイント
- パルス幅:材料の熱拡散時間より短く設定(金属:ナノ秒、樹脂:ピコ秒)
- 繰り返し周波数:加工速度と品質のバランスで決定(20kHz-1MHz)
- ピークパワー:加工閾値の10倍以上を確保
用途 | 推奨パルス幅 | 推奨出力 | 🎯 加工品質 |
金属マーキング | 20-200ns | 20-50W | 深さ精度±5μm |
樹脂切断 | 10-50ps | 10-30W | 熱影響層<1μm |
ガラス加工 | 200fs-10ps | 5-20W | クラックフリー |

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4-3. 超短パルスファイバーレーザー(ピコ秒・フェムト秒)
超短パルスレーザーは、パルス幅が材料の熱拡散時間(約1ナノ秒)より短いため、「非熱加工」を実現します。医療機器、半導体、ディスプレイなど、熱ダメージが許されない高付加価値製品の加工に不可欠です。
🌟 超短パルス加工の優位性
- 🔥 熱影響層:実質ゼロ(<100nm)
- 🎯 加工精度:サブミクロンオーダー(±0.5μm)
- 💎 材料選択性:透明材料内部の選択的加工が可能
- ✨ 表面品質:再キャスト層なし、後処理不要
5. 革新的超短パルスファイバーレーザー『iQoM』の技術優位性
セブンシックスが独自開発した『iQoM』は、超短パルスレーザー市場における3つの根本課題を解決し、産業応用の新たな可能性を開きます。
5-1. 従来技術の課題とiQoMの革新的解決策
⚠️ 従来技術の課題 | 具体的な問題 | ✅ iQoMの解決策 | 💰 ユーザーメリット |
SESAM劣化 | 年2-3回の交換必要 交換費用200万円/回 | SESAMフリー設計 人工可飽和吸収機構 | メンテナンスフリー 年間600万円のコスト削減 |
発振不安定 | 起動成功率60-80% 生産ライン停止リスク | 2波長フィルタ制御 (特許出願中) | 起動成功率100% 生産性30%向上 |
高価格 | 導入費1500万円以上 ROI 5年以上 | 汎用部品使用 シンプル構成 | 導入費50%削減 ROI 2年以内 |
大型・複雑 | 設置面積4m² 専門技術者必要 | 完全ファイバー化 200×150×46mm | 既存装置に後付け可能 操作教育不要 |
5-2. iQoMの技術仕様と応用分野
📋 基本仕様
- 🎯 中心波長:1040nm / 1064nm(用途別に選択)
- ⏱️ パルス幅:2-15ps(圧縮器使用で<500fs)
- 🔄 繰り返し周波数:20MHz±3MHz
- 💪 平均出力:80mW以上(プリアンプで>10W)
- 🎨 ビーム品質:M²<1.2(ガウシアンビーム)
- 🔆 偏光:直線偏光(消光比>20dB)

🏆 主要応用分野と導入効果
- 🏥 医療機器製造:ステント切断の品質向上(バリゼロ化)、歩留まり95%達成
- 💻 半導体製造:ダイシング速度3倍、チッピング率1%以下
- 📱 ディスプレイ製造:ガラス内部マーキング、クラック発生率0.1%以下
- 🔬 研究開発:多光子顕微鏡、テラヘルツ分光の光源として採用拡大
大学・研究機関との共同開発により実証された技術を、産業応用に最適化。博士号取得エンジニアが、お客様の用途に最適なカスタマイズをご提案します。
6. ファイバーレーザーの主要用途と導入成功事例
6-1. 金属加工分野(切断・溶接・穴あけ)
ファイバーレーザーは金属加工の生産性と品質を劇的に向上させ、製造業のDXを推進する基幹技術となっています。特に、従来加工が困難だった高反射材料や複合材料の加工において、圧倒的な優位性を発揮します。
🏭 導入企業の成功事例
事例1:自動車部品メーカーB社(従業員300名)
課題:アルミ部品の需要急増に既存のCO2レーザーでは対応困難
導入:3kWファイバーレーザー切断機
🎯 成果:
- アルミ切断速度5倍(3mm厚で15m/分)
- 不良率80%削減(5%→1%)
- 新規受注3億円/年獲得
- 🔥 投資回収期間:14ヶ月
事例2:板金加工業C社(従業員50名)
課題:多品種少量生産への対応と短納期要求
導入:2kWファイバーレーザー複合機
🎯 成果:
- 段取り時間70%削減
- 電気代60%削減(月額30万円→12万円)
- 24時間無人運転実現
- 売上高1.5倍増加
6-2. マーキング・微細加工分野
トレーサビリティ要求の高まりとともに、レーザーマーキングの需要が急拡大。ファイバーレーザーは、高速・高品質・メンテナンスフリーの特性により、生産ラインの要となっています。
🏢 業界 | 用途 | 要求仕様 | ✅ ファイバーレーザーの効果 |
医療機器 | UDIマーキング | 0.1mm文字、腐食耐性 | FDA規格適合、読取率100% |
電子部品 | 2次元コード | 5×5mm、高速処理 | 0.1秒/個、誤読率0.001%以下 |
自動車 | VINナンバー | 深彫り0.3mm以上 | 30秒/台、10年保証 |
工具 | ロゴ・型番 | 硬度HRC60以上対応 | 超硬工具にも鮮明刻印 |
6-3. 新産業分野での応用拡大
🔋 EV・電池産業
- 電極箔切断:バリフリー加工により短絡リスクを排除
- タブ溶接:銅-アルミ異材溶接を高品質で実現
- 電池缶封止:気密性を保証する高速シーム溶接
💻 半導体・エレクトロニクス
- パッケージング:0.1mm以下の微細ビア加工
- ウェハダイシング:ブレードダイシング比3倍高速
- FPD製造:ガラス基板の高速スクライビング
✈️ 航空宇宙・エネルギー
- CFRP加工:熱影響なしの精密切断
- タービンブレード:冷却穴の高速・高精度加工
- 太陽電池:スクライビングによる高効率化
7. ファイバーレーザー導入ガイド:失敗しない選定方法
7-1. 導入前チェックリスト
ファイバーレーザー導入を成功させるため、以下の項目を事前に確認することが重要です。
✅ 確認項目 | 詳細 | 🎯 判断基準 |
加工材料 | 材質、厚さ、表面状態 | 反射率、熱伝導率から最適波長を選定 |
生産量 | 月間生産数、稼働時間 | 必要出力とランニングコストを算出 |
品質要求 | 寸法精度、表面粗さ、熱影響 | CW/パルスの選択、ビーム品質を決定 |
設置環境 | スペース、電源、空調 | 空冷/水冷、単相/三相を選択 |
予算 | 初期投資、ランニングコスト | TCO(総所有コスト)で比較検討 |
将来計画 | 生産拡大、新材料対応 | 拡張性、アップグレード可否を確認 |
7-2. メーカー選定のポイント
1️⃣ 技術サポート体制
- ✅ 国内サポート拠点の有無
- ✅ 技術者の専門性(博士号取得者など)
- ✅ 24時間対応、リモートサポートの可否
2️⃣ 実績と信頼性
- ✅ 同業他社での導入実績
- ✅ ISO認証、品質保証体制
- ✅ アフターサービスの評価
3️⃣ トータルソリューション提供力
- ✅ 周辺機器、消耗品の供給体制
- ✅ カスタマイズ対応力
- ✅ トレーニングプログラムの充実度
まとめ:ファイバーレーザーで実現する製造革新
ファイバーレーザーは、その革新的な性能により製造業に以下の価値をもたらします:
- 📈 生産性向上:加工速度2-5倍、稼働率95%以上
- 💰 コスト削減:電力費60%減、メンテナンス費80%減
- 🎯 品質向上:不良率90%減、加工精度5倍向上
- 🚀 新市場開拓:従来加工困難な材料への対応
- 🌱 環境負荷低減:CO2排出量60%削減
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