広く光センシング機器というとオシロスコープ、パワーメータ、距離計、温度計、振動計、3次元計測、OCT、通信システムやデバイス評価などたくさんの種類の機器があります。そして、古くから物理現象を用いた様々なアイデアで作られてきた温度計やものさしをはじめとした身近な計測器は近年電気的なセンサと電子回路などに置き換わり開発されてきましたが、この様に光センシング機器の種類を数多く挙げるほど、実はそれら電子計測機器の多くは光を使っても測れることがわかります。これは、光特有の性質を上手に利用することで可能となります。光が物質とよく相互作用する性質(物質が光を運ぶので)を用いれば、ものの内部の様子がわかります。例えば、リンゴ断面の色を見れば鮮度はわかるし、川の透明度で大体のきれいさもわかります。また一方で、波の性質を持つ光の直進性を利用すると空間認識に利用でき、多くの動物がそれを目という光センサを用いて行っています。つまり、従前の計測の多くで求められた測定物に接触する要件が光を用いた計測システムでは不要となり、非接触な計測が可能となります。これはキズなどつけてはならない製品の検査では大変重要なことです。また、計測に許される時間が限られることも忘れてはいけません。理論に戻ってこれら光センシング機器の中をみてみると、光のエネルギー (または振幅)と位相(周波数や相対位相)を(時にはベクトルとして)制御または計測しているに過ぎないとも言えます。しかし、これらには多くの情報を持たせることができることが重要な点です。我が国では高度成長期までに広く導入された情報通信、家電、輸送など全く新規な概念のサービスが当たり前なものとして定着し、その様な新しい概念の製品開発が大よそ飽和に近づいた近年でも、製造メーカは既存の製品により高い価値やサービスを提供するためにしのぎを削っています。実際1990年台以降、通信では無線化や光ファイバによる大容量化、家電は低消費電力化や情報通信技術との融合、輸送ではインフラ拡大や高速化などの技術の付加的または改良的な方向に新しい展開を試みました。もちろん既存の概念だけではなく、ロボットや再生医療の様に新しい方向は存在しています。高度成長期に短期間で国土に整備した社会インフラの維持管理という問題もあります。これから深刻化する少子高齢化社会、エネルギー・環境問題、不安定な世界情勢を鑑みると、守りを固めることを技術的に攻めていかなければなりません。最近のノーベル賞の受賞内容をみると光に関連した内容が頻繁に挙がっていることがわかると思います。特に光システムの研究成果については、ベースとなる光コンポーネントや機器が多様化、そして高度化している証拠です。例えば、レーザ技術は多様な波長帯で誘導発光できる材料開発が進んできただけでなく光ファイバを初めとした光通信デバイスが揃い熟成してきたからで、レーザ加工という20年前では実現可能性の検討すらされてこなかった分野に発展して現在では大きな加工の市場を築いています。これらは光がもつ限られた物理パラメータや物質と相互作用するなどの性質を熟慮し上記のメリットをうまく利用することで発展的な製品開発が可能であることを示したひとつの例です。それでは、今後光技術に求められるポイントは何になるでしょうか。「時間の壁」、「ダイナミックレンジの壁」、「分解能の壁」、「光と影(到達限界)の壁」が重要な課題と思います。不確定性原理を打ち破る(?)なんて話をときどき聞くこともありますが、チャレンジングな試みは大変重要です。現在。塩田研では具体的な研究課題を次の様にグループ化して研究を進めています。
(1)超高速光波形計測システム
(2)大面積非接触表面・断面形状計測システム
“Challenge and make it positive!”