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Coractive Photodarkening Free Fiber の実力とは?! │ Vol.138

製品紹介 , 光技術解説

【sevensixTV】に第138弾の動画を配信しました。

00:24 特殊光ファイバメーカーCoractive社の概要と特徴
01:08 シングルクラッドファイバ(Yb401シリーズ・フォトダークニング耐性)
02:27 高効率・産業用パルスレーザー向けダブルクラッドファイバ
03:36 Low-フォトダークニングとフォトダークニング-Free の違い
05:08 レーザー関連部品・通信ネットワーク用途のパッシブファイバ

今回はカナダの特殊光ファイバメーカー「Coractive社」が提供する、産業用レーザー向け光ファイバ製品についてご紹介します。 Coractive社は1998年に設立され、ガラスプリフォームから試験・測定まで製造プロセスを一貫管理することで、高品質かつコスト効率の高い製品を世界中に供給しています。 本動画では、特に産業用途に用いられるファイバ製品を4つのカテゴリに分けて解説します。

  • シングルクラッドファイバ(Yb401シリーズ)
  • ダブルクラッドファイバ(高効率・産業用パルスレーザー向け)
  • リンケイ酸塩ファイバ(Low PD/Photodarkening-Free)
  • パッシブファイバ(レーザー部品・通信ネットワーク用途)

用途に応じた高性能設計が施されており、最適なファイバ選定にお役立ていただければ幸いです。

▶ 関連動画  最先端の光ファイバ製造現場の全貌 『Coractive』│Vol.116  

00:24 特殊光ファイバメーカーCoractive社の概要と特徴

今回はカナダのCoractive社が提供する、産業用レーザーに特化した光ファイバ製品についてご紹介します。同社の製品は、最先端のレーザー加工、医療、宇宙分野まで幅広く採用されています。今回は4つの製品カテゴリに分けて、それぞれご紹介させていただきます。

Coractive社について改めて簡単にご紹介しますと、1998年にカナダ・ケベック州にて創業された、特殊光ファイバ専門メーカーです。ガラスプリフォームから試験・測定まで、製造プロセスを完全に管理することで、お客様の品質確保とコスト削減を実現しています。 研究開発、試作、立ち上げ段階、そして本格生産段階に至るまで、製品ライフサイクル全体を通してお客様をサポ​​ートし、産業、通信、センシング、医療、科学市場におけるお客様の具体的なニーズにお応えします。

会社概要については、Youtbube動画Vol.116でも詳しく取り上げておりますので、是非そちらをご視聴ください。

01:08 シングルクラッドファイバ(Yb401シリーズ・フォトダークニング耐性)

まず最初に、シングルクラッドファイバのご紹介です。こちらのYB401は同社のパートナー社、INO社が開発している、Yb(イッテルビウム)を添加したアクティブファイバです。こちらはシードレーザー、パルスレーザー、医療、科学の分野での用途が想定されています。

最大の特長として、フォトダークニング耐性が挙げられます。フォトダークニングとは、添加されたファイバのコアのバックグラウンド損失(入力した光がシリカガラスファイバを通過している間の光の損失)が増加する現象です。

Coractive社の公開論文にはこちらの図が記載されています。こちらには、Photodarkeningが影響したバックグラウンド損失が可視光域の450nmをピークとして表れています。伴って、900~1100nmの近赤外領域(ポンプや信号が通る波長帯)にも尾を引く形で広がっており、Ybファイバレーザの効率に悪影響を与えます。

最大の特長として、フォトダーニング耐性が挙げられます。フォトダークニングとは、添加されたファイバのコアのバックグラウンド損失(入力した光がシリカガラスファイバを通過している間の光の損失)が増加する現象です。
Coractive社の公開論文にはこちらの図が記載されています。こちらには、Photodarkeningが影響したバックグラウンド損失が可視光域の450nmをピークとして表れています。

伴って、900~1100nmの近赤外領域(ポンプや信号が通る波長帯)にも尾を引く形で広がっており、Ybファイバレーザの効率に悪影響を与えます。

これに対し、Yb401シリーズをはじめとして、同社はPhotodarkeningへの耐性が高いファイバを製造販売しています。Coractive社の公開論文に於いて、Photodarkeningとイッテルビウムイオン濃度の関連性についても言及されており、イッテルビウムイオン濃度を調整することにより、Photodarkeningへの耐性を獲得しています。なお、Yb401は非PM(偏波非保持)、Yb401-PMは偏波保持タイプのファイバを提供しており、用途に応じて選択可能です。

02:27 高効率・産業用パルスレーザー向けダブルクラッドファイバ

続いて、ダブルクラッドファイバについてご紹介いたします。
これらのファイバはNAと接続損失が低く、全体的な効率の向上が望めるほか、必要な出力とエネルギーレベルに応じて、様々なコア径のファイバを提供しています。これらのYbファイバは再現性の高い性能が保証され、大量生産に最適です。

ダブルクラッドファイバのラインナップについては表のとおりです。同社のYb 添加偏波保持ファイバは、高いQCE(量子変換効率)を誇り、ファイバ長を最小限に抑えることで非線形効果を低減します。

例としてDCF-YB-6/128S においても、優れたフォトダークニング耐性を備え、高い信頼性と長期安定性を実現しています。シングルモード動作で優れたビーム品質を実現するほか、高効率であるためポンプ光の出力要件を低減します。本製品は産業用パルスレーザー、アンプの他、材料加工、科学分野での用途が想定されています。

03:36 Low-フォトダークニングとフォトダークニング-Free の違い

次に、リンケイ酸塩ファイバについてご紹介いたします。
リンケイ酸ファイバにおいてもPhotodarkening Freeとされ、より高い耐性を誇ります。

ここでLow PhotodarkeningとPhotodarkening Freeの違いについて、ご紹介します。

こちらの図のように、それぞれには構成や安定性等において違いがございます。Low Photodarkeningファイバは、Photodarkeningの原因となる欠陥形成を抑制するため、希土類の添加濃度が調整されています。経年劣化はある程度発生しますが、その速度は標準的なYb添加光ファイバに比べて大幅に低くなっています。これらの光ファイバは、優れた長期性能が重要であり、わずかな劣化が許容される高出力用途に適しています。

一方で、Photodarkening-Freeファイバは、リンが使用されており、Photodarkeningの発生を完全に防ぐように特別設計をされています。

リンはPhotodarkeningの根本的な原因となる、色中心と呼ばれる欠陥形成を抑制することで、Photodarkeningの根本原因を排除します。そのためこちらは長期間の高出力動作下でも安定した性能を維持します。使用開始から24時間はわずかな出力低下が発生する場合がありますが、その後は長期にわたって安定した性能を維持します。

こちらは、Low PhotodarkeningファイバとPhotodarkening Freeファイバの時間経過による出力を比較した表です。Low Photodarkeningファイバが時間経過で緩やかに出力が減少しているのに対し、Photodarkeningファイバは出力にほとんど変わりがないことが分かります。

リン酸系ファイバのラインナップについてはこちらの表をご参照ください。それぞれ異なるコア径、コアNAを揃えておりますので、用途に合わせてご選択いただけます。

05:08 レーザー関連部品・通信ネットワーク用途のパッシブファイバ

代表製品としてDCF-YB-7/128-FHAは、低出力アンプやPre-AMPの利得媒体として最適で、主にパルスファイバレーザーのMOPA構成で使用されます。先述のリンケイ酸塩ファイバの利点に加え、シングルモード動作が容易であり、HI 1060などの標準ファイバと組み合わせた場合の接続損失が非常に低いという特徴があります。

同社のアクティブファイバ製品および業界標準のアクティブファイバのほとんどに適合するように設計・製造された、パッシブファイバの包括的なラインナップを提供しています。パッシブファイバは主に、ファイバレーザーや増幅器関連部品、ビーム伝送、通信ネットワークデバイスに使用されます。

例としてDCF-UN-10/125-080は、同社製のDCF-YB 10/128Eをはじめとして、市販のアクティブファイバと完全に整合するように設計されています。高ピーク出力パルスファイバレーザーのポンプコンバイナや出力アイソレータなどの受動部品の製造に広く使用されています。